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「孤高のメス」WOWOWドラマ第2話あらすじ感想など 当麻と実川のリアリティ

2019年1月21日

現役医師大鐘稔彦おおがねなるひこ氏のベストセラー小説「孤高のメス」第2話のあらすじを紹介します。

「孤高のメス」ドラマシリーズの登場人物はこちらに

「孤高のメス」前回まで

※ネタバレしています。

地方の小さな病院、甦生こうせい記念病院に外科医当麻鉄彦とうまてつひこがやって来ました。

看護師たちは腕も人柄もいい当麻の入局を喜んでいますが、腐りきった医局で幅を利かせていた医師たちはいい顔をしません。

そんな時、難しい症例が発生します。

第2外科医長野本が「手術は無理」だと切り捨てたその患者を当麻は輸血なしの手術で救います。

この一件で野本一派からの当麻への風当たりはますます強くなりました。

孤高のメス第2話のあらすじ

実川剛と当麻鉄彦

当麻は、学会で実川剛さねかわごうと出会います。

甦生病院に新しく入った腕の立つ医師当麻の噂は、実川のいる近江病院にも届いていて、実川は、自身と同様アメリカで肝移植を学んで帰国したという当麻に関心を持っています。

すぐにでも肝移植を実施に移したいと考えている実川は、実力のある当麻と懇意になっておきたいようです。

しかし当麻の目標は、あくまで「地方でも都会の大病院と同等の医療を受けられる体制を整えること」であり、肝移植は、その一部です。

野本の手術ミス

野本は不機嫌です。

外来で急性胃炎と診断して帰した患者、井上カズ子が、帰宅後ひどい腹痛を起こして運び込まれたからです。

いかにも面倒なそぶりで診察に当たる野本でしたが、付き添ってきた男が町会議員だと分かると、態度を変えて検査を始めます。

患者は胃炎ではなく胆嚢炎で、すぐに手術の運びとなります。

手術中、野本のミスで大量の出血が起きますが、野本はそれを隠蔽します。

術後、患者は黄疸を発現。ミスがあきらかになり再手術が必要に…。

院長の島田は、実川に甦生病院へ来て手術をしてくれるよう依頼。野本は助手につくことになりました。

気分を害している野本は、ふてくされてやる気がなく、実川の指示にのろのろと従うだけですが、ここでもまた手元が狂い、出血を広げてしまいます。

実川はとうとう野本に当麻と交代するよう命じます。

こうして当麻と実川は向かい合って立ち、ひとつの手術を共同で仕上げることになりました。

こわばっていた実川の表情が緩み、術中に笑顔がこぼれます。

それほどに当麻の手腕は優れていたのです。

実川はすぐさま近江大の卜部うらべに当麻引き抜きを進言。

将来の肝移植チーム設置のため、今のうちから近江大学の非常勤講師として籍を置いてほしいとする実川の依頼を当麻は快諾します。

職員食堂職員キヨさんの事故

その日はどしゃ降りでした。

甦生病院食堂のベテランスタッフ中村キヨは、雨の中をバイクで帰宅する途中トラックとぶつかる事故を起こします。

執刀には当麻が当たりましたが、破裂した肝臓は大部分を摘出するほかなく、残すことのできたのは5分の1程度

結婚を控えたひとり娘は、「来月の結婚式まで…」と尋ねますが、当麻は返事ができません。

キヨを救う方法はひとつだけ。

肝移植です。

折しも甦生病院には脳死状態の患者がいます。

「家族を説得する」と申し出る当麻でしたが、時は1989年、当時の日本には脳死を人の死とする見方は定着していません。

当然、脳死患者からの移植も認められていません

「移植はできない」と言う院長の島田に当麻はいつになく声を荒げ、「移植をすれば救える命がそこにある」と主張します。

でも島田には、法で許されていない手術を許可することができません。

数日後にキヨは息を引き取ります。

一方近江大学病院には先天性胆道閉鎖症の男児が入院しています。

参考:胆道閉鎖症|難病指定センター

実川は、男児の両親に「肝移植が適した疾患だ」と話し、「日本では出来ない手術なので海外で移植を受けては」と打診します。

しかし両親にはその費用を工面することができません。

実川は、「ならば生体肝移植を」と新たな提案をします。

「孤高のメス」第2話はこういうお話でした。

日本の臓器移植、ドラマにもちらっと出てくる臓器移植事件についてはこちらに

最後に実川の言う生体肝移植は世界初の症例が1988年、日本初は1989年だったそうです。

(ドラマの舞台は1989年です)

参考:生体肝移植|国立成育医療研究センター

「孤高のメス」2話の感想

当麻と実川が出会いました。

絵に描いたような清廉潔白の理想家当麻に対し、実川は、野心もある医師のように見えます。

医師が名を揚げようとすること自体に問題はなく、むしろ理想だけでは実現しえないことを実現へと導くときには、如才なく動くこともできる実川のような人物が必要なのではないかなと思います。

当麻と実川が、反目し合うのではなく、友情や尊敬だけで結び付く単純な関係でもなく、外科医として認めあいながら少しずつ違う気持ちでいるところは、とてもリアリティがあり、物語に厚みを加えています。

臓器移植は、医療の進歩で助けられる症例が増えたことによる新たな問題という性格を持っています。

治療の選択肢が増えれば、ヒューマニズムに基づいた行為も患者のための医療もひとつではなくなります。

ベストな医療とは何かがケースバイケースで変わる複雑さに、病院や学閥の力関係も加わり、医師が日々下す決断はますます難しいものになるでしょう。

当麻は何を選び何を選ばずに進むのか、実川は野心と現実と目標をどう折り合わせていくのか、深みのあるドラマになりそうで楽しみです。

第3話はこちらに