鬼平外伝「老盗流転」登場人物キャストとあらすじ感想など
「鬼平外伝」は時代劇専門チャンネルのオリジナルドラマで2011年から2016年までの間に全5本が制作公開されました。
池波正太郎作品から作られたドラマですが「鬼平犯科帳」ではなく「にっぽん怪盗伝」「江戸の暗黒街」に収載された短編小説を原作としています。
「老盗流転」
「鬼平外伝 老盗流転」は、2013年公開の作品。
原作は池波正太郎「江戸の暗黒街」に含まれる短編「殺(ころし)」です。
鬼平外伝「老盗流転」登場人物とキャスト
桑飼の弥右衛門(くわがい-の-やえもん)
演:立川三貴
大盗賊の頭
このところ金回りが悪く、自ら立てた「人殺しはしない」という誓いを踏み外しかけている
黒塚の駒吉(くろつか-の-こまきち)
演:高橋光臣
弥右衛門配下の古株の盗賊
水鶏の松蔵(くいな-の-まつぞう)
弥右衛門配下の古株の盗賊
高根の万助(たかね-の-まんすけ)
演:佐藤銀平
弥右衛門配下の盗賊
弥右衛門に取り入り、古参の駒吉、松蔵を押しのけて側近についている
立場の久六(たてば-の-きゅうろく)
演:福本清三(35年前の役者さんは不明です)
弥右衛門配下の盗賊
万助に調子を合わせている小物
岡村九兵衛
演:五代高之
北町奉行所の同心
桑飼一党の人相書き綴りを残して死ぬ
井原新十郎
演:山田純大
火付盗賊改めの同心
清蔵(せいぞう)
演:益岡徹
岡っ引き
赤不動の喜兵衛(あかふどう-の-きへえ)
演:寺田農
殺しの仲立人で、殺し屋に渡りをつける役目
徳兵衛(とくべえ)
演:橋爪功
小物問屋井筒屋の旦那。評判はいい
おもん
演:若村麻由美
徳兵衛の若い女房
宗次郎(そうじろう)
演:細山田隆人
井筒屋の番頭
船松の権太郎(ふなまつ-の-ごんたろう)
演:高杉亘
芝田町辺りの遊び人
鬼平外伝「老盗流転」あらすじネタバレなし
盗賊の内紛
江戸を悩ます大盗賊桑飼の弥右衛門が「来月八王子の佐野屋を狙おう」と言います。
古参の松蔵と駒吉は「そんな無理押しはだめだ」と反対しますが、弥右衛門は「今どき本格のおつとめなどしていられない」と一蹴。
このところ弥右衛門の手口が急ぎ働きに変わり、駒吉と松蔵は一党の今後に不安を感じています。
一方万助は「駒吉と松蔵はわきまえがない。親方になりかわるつもりではないか」と弥右衛門をそそのかします。
ある夜、弥右衛門らが駒吉と松蔵を襲いにやって来ました。
とっさに腕で松蔵を後ろへ押し込め矢面に立つ駒吉。
乱闘になり、弥右衛門の手下久六は額に負傷。弥右衛門は死にました。
追分の別れ
逃げ出した駒吉と松蔵は、上方へ向かいますが、ふたりが一緒にいれば見つかりやすくなると考え、ちょうどそこにあった追分で左右に別れることにしました。
「これっきり他人。何があっても恨みっこなし」「どこかで会っても知らない者同士だ」と言って、ふたりは別の道を進んで行きます。
三十五年前の出来事です。
食い逃げ爺さん捕まる
江戸の小さな料理屋で老いぼれの爺さんが無銭飲食の上強盗しようとして十手持ちの清蔵に捕まります。
それだけのことでしたが、爺さんを番屋に連れ帰った清蔵は、火付盗賊改めの井原を呼びました。
清蔵の手元には、かつての奉行所同心岡村が死の間際に清蔵の父に預けたという桑飼の弥右衛門一味の人相書きがあり、そのうちのひとり、久六という男の額に描かれた傷が、この爺さんと同じだと気付いたのでした。
人相書きから三十五年。
生きていればこれくらいの歳でおかしくありません。
爺さんは、井原に「あんたは久六か」と聞かれると「そうだ」と答え、「万助の行方は知らないが駒吉なら昨日江戸で見た」と言います。
井原と清蔵は「どこで見たのだ」と問いますが、それを言う前に久六爺さんは息絶えてしまいました。
殺しの仲立人
川にぽつりと浮かんだ船の上。
密談を交わす男がふたり。
三十両を受け取った赤不動の喜兵衛は別の場所で浪人風の男にその金を渡します。
「これは前金で、殺しが済めばもう百両」
それがこの取引の条件のようです。
金を受け取ったのは松蔵。今は殺し屋を雇う仲立人をしているのでしょう。
今度会うのはあの世かね
殺しの仲立人をしている松蔵に対し、駒吉は徳兵衛という名で大店を持っています。
ふたりは小さな橋の上で偶然すれ違い、立ち止まって振り向きました。
「生きてたのかい」
三十五年ぶりの再会です。
「どこかで会っても知らない者同士だと約束したはずなのに、つい懐かしくて声をかけちまった」と話すふたりは、酒を酌み交わして静かに再会を喜びます。
しかし互いに今の身の上は明かしません。それが盗賊の流儀です。
駒吉が松村町近くに暮らしていると聞いた松蔵が「井筒屋の徳兵衛を知っているかい」と尋ねます。
何気ない調子で駒吉が「どうしてだい」と聞き返すと松蔵は言いました。
「殺してくれと頼まれてね」
いつかの密談は、井筒屋の旦那殺しの手配でした。
駒吉は、自分が徳兵衛だとは打ち明けず、ふたりは「今度会うのはあの世かね」と言って別れました。
鬼平犯科帳「老盗流転」あらすじネタバレ版
以下はネタバレです。
ネタバレを読みたい人はタップしてください。
ストーリーもテーマも全く違うのに見終わった時の心境は「ゴッドファーザー」を見た後のよう。
フィルムノワールの味わい。傑作でした。
原作短編集「江戸の暗黒街」も注文しました。この作品を知ることができて良かったです。
→原作「殺」は、ドラマ「老盗流転」とは全然違う話でした(笑)
その他鬼平外伝各話リンク
第1作「夜兎の角右衛門」
第2作「熊五郎の顔」
第3作「正月四日の客」