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「ヒトラーの贋札」登場人物キャストと見分け方,あらすじ感想-残酷な矛盾をはらむ任務へのスタンスを見比べる面白さ

2019年4月10日

ヒトラーの贋札」というタイトルですが、映画の中にヒトラーは登場しません。

ヒトラー関連、ナチス関連の映画の中で、ちょっと違う雰囲気の作品です。

「ヒトラーの贋札」登場人物の見分け方とキャスト

似たような服装の外人男ばっかで誰が誰だか分かりにくいです。

写真を見てしまうと結局覚えられません。見分けるコツは、顔を言語化することです。

ユダヤ人贋札作りチーム

サリー・ソロビッチ

演:カール・マルコヴィックス

贋札や偽造パスポートを作って稼いでいたが、ナチス政権下のドイツで逮捕され強制収容所へ送られる。

本当の名はサロモン・ソロビッチ

見分け方:頭頂部が涼し気で面長、鼻筋が左に曲がってる人

コーリャ

演:ゼバスティアン・ウルツェンドフスキ

画学生

見分け方:小柄で丸顔の青年。唇にボリュームがある人

ブルガー

演:アウグスト・ディール

コロタイプ写真の印刷技師

最初に与えられた古着を拒否する人

見分け方:長身で薄い唇を常時横へきゅっと引いている。額が四角く広い人

ブルガーは実在の人物です。映画「ヒトラーの贋札」はブルガーの著書「ヒトラーの贋札 悪魔の工房」を原作にしています。

ツィリンスキー

演:アンドレアス・シュミット

広告カメラマン

見分け方:長身で細長い顔。髪が伸びてからはストレートの横分けになる人

ロセック

演:レン・クドリアヴィツキ

本当は鉄道員だったが印刷工と偽って贋札作りチームへ入った

見分け方:コーリャをおじさんにした顔の人

アツェ

演:バイト・シュテュブナー

贋札製造グループの班長

見分け方:収容所には似つかわしくないほど太ったおじさん

クリンガー

演:アウグスト・ツィルナー

医師

見分け方:銀色よりの白髪にメガネの人。勤務時は白衣着用

ナチス親衛隊員

ヘルツォークとホルストは帽子と軍服で見分けて下さい

ヘルツォーク

演:デーヴィト・シュトリーゾフ

親衛隊少佐

元は捜査局の贋札担当でソロビッチを逮捕して出世した

将校用の制帽をかぶっているのがヘルツォーク。制服はテーラードのジャケットにネクタイ。

こういう制服。

ヒトラーの贋札-ヘルツォークの制服制帽
Bundesarchiv, Bild 101III-Alber-178-04A CC bySA3.0

↑上の写真はヴァルター・シェレンベルク国外諜報部門局長

この人の部下がベルンハルト作戦を実行しました。

ホルスト

親衛隊員

ヘルツォークの部下だが、ユダヤ人チームへの好待遇を過剰と思っているフシがある

規格帽をかぶっているのがホルスト

ヒトラーの贋札-ホルスト-ナチス規格帽

制服の襟はこんな感じ(ちょっと違いますが大体こんなふう)

ヒトラーの贋札-ホルスト-制服の襟

「ヒトラーの贋札」あらすじネタバレなし版

贋札作りの天才ソロビッチ逮捕

1939年ナチス政権下のドイツ

ユダヤ人サリー・ソロビッチは、絵画の才能を贋札作りに活かして生活していましたが、逮捕され、強制収容所へ送られます。

収容所で紙切れに描いた絵が看守の目に留まり、ソロビッチは、軍人たちの肖像を描くことで多少の優遇を受けるようになりました。

ベルンハルト作戦

ある日ソロビッチは、ザクセンハウゼン収容所へ移送されます。

移送のトラックで一緒になった青年コーリャは、ソロビッチの卒業した美術学校の学生でした。

ザクセンハウゼンではジャケットとズボンに煙草まで与えられ、これまでの収容所とは比べものにならない清潔なベッドで寝るよう指示されます。

軍は、絵や印刷、製紙の素養のあるユダヤ人を集め、贋札を作らせようとしているのでした。

大量の贋札を英国米国に流通させてインフレを起こす作戦、ベルンハルト作戦です。

ユダヤ人にやらせるのは、終戦の時には口封じに殺すつもりだからでしょう。

ソロビッチは、贋札修正班の責任者に任命されました。

コーリャは、柔らかいベッドを喜んでいますが、ブルガーは、印刷機を見せられて泣いています。

「ヒトラーの贋札」あらすじネタバレ版

結末までネタバレしています。

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ネタバレを読む

贋ポンド札とぼろ布

偽ポンド紙幣作りの最大の問題は、紙です。

トルコ亜麻を使っていることまでは判明していますが、同じ手触りの紙を作るのに難航しています。

ソロビッチは、工員の古いエプロンに目をつけ、ポンド札には古い布の切れ端が使われているのに気付きます。

こうして作られた贋札のクオリティは、目覚ましいものでした。

口座開設のために贋ポンド札を持ち込んだチューリッヒの銀行では、銀行員が30分精査した結果、紛れもない本物のポンドだと判定され、念のために再度持ち込んだイングランド銀行でも本物と認定されました。

想像以上の出来に満足したナチスは、この札を為替取引に使用することにします。

贋ポンド作りは成功。次はドル札です。

印刷工の反逆

贋札製造スタッフの大多数は、他のユダヤ人たちとは段違いの待遇を喜び、懸命に働いているように見えます。

でも贋ドル作りは、うまくいきません。

ブルガーが、印刷に使うゼラチンに手を加えて完成度を落としているのです。

「印刷業とは真実を刷る仕事」との信念のもとに反ナチスのビラを印刷して捕まったブルガーは、今もナチスに協力するつもりはなく、むしろユダヤ人で団結して戦いたい考えです。

4週ごとに5人銃殺

なかなかドル札ができないのに業を煮やしたヘルツォークが、とうとう「4週以内に作れ」と期限を明示し、「できない場合は4週ごとに5人ずつ銃殺する」と宣告しました。

結核のコーリャ

画学生コーリャは、結核です。

来た時から続いていた咳が悪化し、発熱もあります。

医師クリンガーは、感染予防のために殺されるのを危惧して病気のことを隠すよう指示。

以来コーリャは、隔離のため暗室で寝起きしています。

薬がなければ治ることはないでしょう。

ヘルツォークとの取引

ソロビッチは、親衛隊少佐ヘルツォークと取引する決意をします。

どうしたわけかヘルツォークは、ソロビッチとの会見場所に自宅を選びました。

品のない妻が、収容所のユダヤ人がスーツで隊員宅へ来るのを見て、「やっぱり収容所は素晴らしい場所ね」とひとりではしゃいでいます。

ソロビッチが持ち掛けた取引は、結核の薬をくれたらドル札を完成させるというものでした。

ドイツ軍はワルシャワで敗退し、戦況は悪化しています。

ヘルツォークが強硬になったのも足元に火がついているからです。

断れるはずがありません。

ヘルツォークは、その取引に応じると約束しました。

贋ドル完成

ブルガーは頑として贋ドル作りを妨害する姿勢です。

チーム内にはブルガーへの怒りが充満し、以前から彼に反感を持っていたカメラマンのツィリンスキーらは、ブルガーに暴行しますが、ブルガーは態度を変えません。

説得は不可能と知っているソロビッチは、深夜にひとりで印刷作業を進め、完璧な贋ドルを作り上げます。

ヘルツォークは歓喜し、チーム員は安堵に胸をなでおろす中、ブルガーは意味深な目つきでソロビッチを見ています。

1945年の謝肉祭

贋札チームは、謝肉祭を祝うのを許されました。

謝肉祭はカトリックのお祝いなので、これを祝わせること自体に侮辱の意味合いがあったのかもしれませんが、ユダヤ人たちは、歌ったり踊ったりしてささやかな息抜きを楽しんでいます。

ソロビッチは交換条件の薬をヘルツォークから受け取るとコーリャを探します。

外の通路から話し声が聞こえるので高い窓から覗いてみると、しゃべっているのはコーリャとホルストでした。

ホルストは、「年はいくつだ」「生まれはどこだ」といくつか質問をし、同じ調子で「跪け」

コーリャは、抵抗するふうもなく黙って座り、頭を撃たれて死にました。

ホルストは平然として、「コーリャは結核だった。やむを得なかった」「奴は覚悟してた。ユダヤ人だが男らしく死んだ」とチーム員たちに説明しています。

謝肉祭は2月ごろに祝うものだそうです。ドイツが降伏するのは1945年5月初めなので、これは終戦まであと3ヶ月足らずの時期の出来事です。

作業の停止と機械の解体

突然贋札作りの中止が申し渡されます。

ホルストが殺気だった様子で作業をやめて機械を解体しろと命じています。

ヘルツォークは、残った機材を積んだ車でどこかへ行ってしまいました。アルプス山中に隠すと言っています。

風雲急を告げる状況に、誰もが終戦の気配を感じています。

※実際の贋札と機密文書はオーストリアのトプリッツ湖に沈められました。
参考:ベルンハルト作戦|Wikipedia

ソロビッチとヘルツォーク

薄暗い倉庫でソロビッチは、贋ドルをアタッシュケースに詰めています。

そこへヘルツォークが入って来て、二人はもみ合いになりました。

ヘルツォークが取り落とした銃をソロビッチが拾うと、ヘルツォークは、恥も外聞もなく命乞いを始めます。

あまりの醜態に殺す気も失せたのか、ソロビッチは撃ちません。

自由

ドイツは戦争に負け、収容所のユダヤ人は自由になりました。

班長のアツェは、他のユダヤ人たちに「わざと手間取って贋ドルを作るのを遅らせた。時間を稼いでドイツ敗戦に一役買った」と説明しています。

本当の抵抗者はブルガーひとり。アツェの話は嘘ですが、ブルガーは涙を浮かべるだけで何も言いません。

ブルガーの妻は、逃亡未遂で殺されています。

贋ドルはカジノの泡に

ソロビッチはモンテカルロのカジノにいます。

ポーカーでは勝てる手であがらず、ルーレットでは金を捨てるように賭け、残った金もチップとして置いてきてしまいます。

ドレスの女性に「ついてなかったわね」と言われるとソロビッチは「金はまた作ればいいさ」

ソロビッチの戦争は今終わりました。

「ヒトラーの贋札」の感想など

舞台は強制収容所で、贋札作りチームの棟の周囲では他のユダヤ人たちが日々虐待されています。

贋札製造班の中でもコーリャの死など酷いことがたくさん起きました。

そうした事情を考えると「面白い」と言ってはまずい気もしますが、感想を一言で言うとやっぱり「面白い」です。

まずユダヤ人の彼らと贋札との関係の悩ましさが興味をそそります。

贋札は敵国をインフレに陥れるための兵器であり、ベルンハルト作戦の究極の目的は戦争に勝つことです。

ドイツ勝利で終戦すれば、贋札作りに関わったメンバーは殺されるでしょう。

ユダヤ人の彼らにとってこの作戦は、失敗しても成功しても命がないことに変わりのない残酷な矛盾をはらんだものです。

そうした中で抵抗の姿勢を示すブルガーの最大の動機は主義と思想、正義を守ることだったと思いますが、現実的に考えた場合にも納得のいくものです。

贋ドルは、大量生産が計画されていて、ひとたび贋札が完成すれば米国は日ごとにインフレしていきます。

それはドイツの勝利が近づくことであり、贋札チームの処刑の日が近づくことです。

ならば敵に手を貸すよりも民族の誇りを守って戦うほうがいいと考える人がいても少しも不思議ではありません。

でもソロビッチは、持ち前の合理的精神で「今日の銃殺より明日のガス室のほうがいい」と言います。

これもまた一理ある選択です。

時々刻々と情勢の変わる戦時下では一日でも長く生き延びることが、最良の結果を得る可能性を高めることに他なりません。

彼らにとって最良の結果とは、命あるうちにドイツが敗戦することです。

事実、その通りになりました。

運が良かったとも言えますが、幸運を引き当てる最初の条件は生存していることでした。

敵国にインフレを起こそうとする戦法そのものにも面白さがあり、やはり「ヒトラーの贋札」はとても面白い映画です。