「MAGI-天正遣欧少年使節」第6話フィレンツェ篇あらすじ感想-熱病とガリレオ
「MAGI–天正遣欧少年使節」第6話のあらすじと感想など。
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Contents
「MAGI-天正遣欧少年使節」フィレンツェ篇あらすじ
ジュリアン熱病に倒れる
地中海を進む船で中浦ジュリアンが倒れます。
熱病でした。
港に着くとジュリアンだけが船に残され隔離されます。
3人の医師が治療にやって来ますが、感染を防ぐために彼らがかぶっているマスクはあまりに不気味です。
三角帽にくちばしのようにとがったマスクを装着した彼らは、どっかの秘密結社に見えるくらい怖い…
治療器具を手に病室へ入ってきた3人を見をジュリアンは、ひどく怯え、「マスクを外さないと治療させない」と激しく抵抗しました。
医師の一人カルロがマスクを脱ぎ、優しい素顔が見えるとジュリアンはそのまま気を失ってしまいます。
装束だけでなく治療内容もなかなかに怖いです。瀉血?
その時、処置するカルロの顔にジュリアンの血が。
ジュリアンが意識を取り戻し、歩けるようになる頃、カルロはベッドから起き上がれなくなっていました。
「神は十字架の上だけにいるのではない。君の心の中にいるのだ」
ジュリアンにそう伝言を残し、カルロは死にました。
ジュリアンは、マスクを取るよう強要した自分を呪い、ふさぎ込んでいます。
マルティノはガリレオの家へ
フィレンツェにガリレオがいると知った原マルティノは、ひとりでガリレオに会いに行きます。
家の周囲にはガリレオの様子をうかがう男たちが。
異端諮問所への出頭命令の出ているガリレオを見張っているのでした。
ガリレオは、突然訪ねてきたマルティノに苦言も言わず、天体望遠鏡を覗かせてくれます。
「月は地球の周りを回り、地球は太陽の周りを回る」
マルティにとっては、どんなに美しい詩よりも心の震える言葉だったことでしょう。
学問の喜びを知ると同時に、真理を説いた学者を異端と呼ぶカトリック教会に疑問を抱くマルティノでした。
ミゲルは娼館へ
街を散歩する伊東マンショと千々石ミゲルを怪しい男たちがじっと見ています。
ふたりが走りだすと男たちも走って追ってきました。
そして案外簡単にまかれます。なんだったんだ、この人んちは。
現地の子供たちが遊ぶのを眺めながら、子供時代の話になると、マンショは初めて自分の生い立ちを話しました。
日本では、ミゲルの実家の城も落ちています。
帰り道、娼婦たちがふたりに声を掛けてきます。
後ろ髪を引かれるミゲルをマンショは止めず「好きに生きろ」と言って、一人で先に帰りました。
追手のおっちゃんら完全に舐められてる…
「MAGI-天正遣欧少年使節」6話フィレンツェ篇感想など
ジュリアンの祈り
ジュリアンは長崎で、伝染病患者の看病を買って出て命を落としたキリシタンを見て感銘を受けたと言っていました。
この話をするジュリアンには、重要な視点が欠けています。
看護を受けた患者の心情です。
なにもジュリアンが若く未熟だから分からなかったと言うのではありません。
大人でも気付きにくい苦悩は、実は社会のあちこちに存在します。
十代の半ばでこれほど辛い体験をした少年にかけられる言葉もありません。
私は宗教というものを多少冷めた目で見ている人間ですが、今のジュリアンを思うと、彼に祈りというものがあってよかったなと思います。
マルティノの問う「お前の大切なものはなんだ」
ガリレオに会い、地動説を知ったマルティノは、同時にその学説がガリレオを窮地に追い込んでいることも知ります。
命がけで宇宙の真理を説くガリレオの生き方にマルティノは、人の生きる意味を見出したのでしょう。
ミゲルやマンショに「お前の大事なものはなんだ」と迫るマルティノの問いは、そのまま、マンショが信長から託された「自分を信じまっすぐ生きるとはどういうことか」という命題への答でもあるように思います。
問いが答?
問いが答であり、答は新たな問い。
人生とはそういうものですよね。
ガリレオとマルティノのエピソードは創作
4人がトスカーナ大公国に着いたのは1585年です。
ガリレオが地動説を公言するようになったのは17世紀初頭以降、望遠鏡で月を見たのが1609年とのことなので、ドラマのエピソードは完全な創作です。
タイミングがあっていたとしても、日本の少年が単身でガリレオ宅を訪れ、通訳なしで地動説が伝達されるようなことが事実とはとても思えませんが(笑)
カトリックに対する疑問のひとつとして、またカトリックが抱えることになった大きな問題としてガリレオは象徴的な存在なので、時期をスライドさせて作品に盛り込んだのでしょう。
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