英国チューダー朝に関連する本,映画,ドラマ-TUDORSを見た人におすすめ

2020年5月14日

チューダー朝関連の映画、ドラマ、本のうち私が見た/読んだものを紹介します。

ドラマ「TUDORS」を見て、「次に何かないかな?」と探している状態を想定して書いているので、下のリストに「TUDORS」は含まれていませんが、もちろん「TUDORS」もおすすめです。

スパニッシュプリンセス-キャサリン・オブ・アラゴン物語(ドラマ)

TUDORSを気に入った方に一番におすすめしたいのはこのドラマです。

物語は、ヘンリー8世との結婚よりも前、ヘンリーの兄アーサーとの婚姻のため渡英するところからはじまります。

アーサーが死んでしまって、弟ヘンリー8世の妃になったことは知っていたのですが、それが決まるまでに持ち上がったほかの縁談については知らないことがたくさんありました。

シーズン2まで合わせて全16話のドラマですが、ヘンリー8世とキャサリンの結婚はシーズン2冒頭です。

ドラマTUDORSよりも前の英国王室の出来事を見られるという意味でも面白いですし、TUDORSとはちょっと違う印象のキャサリンも新鮮で真実味があっていいです。

「スパニッシュ・プリンセス キャサリン・オブ・アラゴン物語」は、アマゾンチャンネル「STARZPLAY」で見られます。

STARZPLAY初回利用なら7日間無料。解約はいつでも可能です。

同じSTARZPLAYにある「ホワイト・プリンセス」「ホワイト・クィーン」も面白いですよ。バラ戦争期の話です。

 

わが命尽きるとも(映画)

1966年米英合作映画 フレッド・ジジンマン監督

国王ヘンリー8世の離婚問題解決のため、信念に反する行動を迫られるトマス・モアの苦悩と最期を描いた映画です。

窮地に追い込まれてもなお信念のままに生きるモアに対して、モアを邪魔に思う野心家たちのめぐらす策は滑稽ですらあります。

でも、家族のことを思うとモアの行動を無条件に尊敬していいものかどうか…と、これは現代的な甘い発想?

などなど考えさせられる映画です。

アカデミー賞6部門獲得作品。

トマス・モア役はポール・スコフィールド、ヘンリー8世はロバート・ショウ、ウルジーはオーソン・ウェルズです。

TUDORSでは存在感の薄いリチャード・リッチ(ジョン・ハート)がたくさん出てきて、リッチが悪人と言われる理由がよく分かりました。

 

ウルフ・ホール(ドラマ)

イギリスBBC制作のドラマ(全4話)で、原作はヒラリー・マンテルの「ウルフ・ホール」と「罪人を召し出せ」の2作。

こちらはクロムウェルがメインで、宗教改革とヘンリー8世支配下のイングランド治世に奔走する善き政治家として描かれています。

ヘンリー8世役をダミアン・ルイス(「ホームランド」のブロディ、「ビリオンズ」のボビー)がやってます。

ダミアン・ルイスのヘンリー8世すごくいいです。

アン・ブーリンはクレア・フォイ(ネトフリ「クラウン」のエリザベス女王の人)

 

ブーリン家の姉妹(映画/ドラマ/小説)

アン・ブーリンの姉メアリーの視点も含まれ、一連の出来事を姉妹それぞれの立場から語られる「ブーリン家の姉妹」には、映画版とドラマ版があります。

映画版ブーリン家の姉妹でアン・ブーリンを演じるのはナタリー・ポートマン、メアリー・ブーリンはスカーレット・ヨハンソンです。

姉妹の魅力度ではこの作品が一番!

BBCドラマの「ブーリン家の姉妹」では、ヘンリー8世を「チェルノブイリ」の主演俳優ジャレッド・ハリスがやっています。

シンプルにジャレッド・ハリス目当てで見たので、まあ悪くはなかったです。

映画かドラマかなら、映画の方がおすすめです…が、一番いいのは原作小説でした。

ちょっと長いですが。

 

エリザベス/エリザベス ゴールデンエイジ(映画)

ドラマ「TUDORS」後の歴史。エリザベス1世の映画です。

映画は「エリザベス」の後に「エリザベス ゴールデンエイジ」が作られていて、内容も自然につながっています。

1作目「エリザベス」は、エリザベス1世が国家の宗教を英国国教に戻し(1代前のメアリーで英国は再度カトリック化していた)、ダドリーへの思いを断ち切って国家と結婚すると決断するところまで。

2作目「エリザベス ゴールデンエイジ」では、メアリー・スチュアートや海賊ローリーが登場します。

物語はアルマダの海戦スペイン無敵艦隊を倒して英国を世界第一の国家とするところまで。

一個人としての平凡な望みや苦悩を内心に隠し持ちながら、強く堂々と、あくまで女王として生きたエリザベス1世が良く描かれていて、主演のケイト・ブランシェットの演技が絶賛された作品です。

両方見てください。

 

ふたりの女王 メアリーとエリザベス(映画)

この「メアリー」は、スコットランドのメアリー・スチュアート

ふたりの性格の違い、境遇の違いが対照的に(やや極端に)とり上げられています。

不要なくらい生々しいシーンが入る一方で二人の女王には今一つリアリティがなかったりで、どうもしっくりこない印象でした。

とは言っても一般的にはそこそこの評判です。メアリー・スチュアートにも興味のある人はこれを。

 

ガン・パウダー(ドラマ)

エリザベス1世のさらにその次の国王ジェームズ1世の時代の宗教弾圧と抵抗のお話。実話です。

ジェームズ1世はメアリー・スチュアートの息子でカトリック教徒でしたが、イングランド国王としての政策はあくまで英国国教会のみを認めるというものでした。

弾圧されるカトリック教徒は、国王を爆殺する計画を立てます。

未遂に終わったこの陰謀事件を描いたドラマが「ガン・パウダー」です。

雰囲気の暗いドラマですが、3話(1エピソードは1時間程度)構成でほどよい見ごたえがあります。

 

残酷な王と悲しみの王妃(本)

「怖い絵」シリーズで知られる中野京子氏が暴君に嫁いだ王妃の悲劇をテーマにまとめた本です。

第5章でアン・ブーリンがとりあげられます。

TUDORSに出て来るアンとはちょっと違って、王の求愛を半ば迷惑に思いながら、やがて「ならば王妃になるほかない」と覚悟を決めた女性との解釈がされています。

アン・ブーリンの他には、メアリー・スチュアートやイワン雷帝などが多くの絵画とともに登場します。

読みやすくて面白いです。

 

チューダー王朝弁護士シャードレイク(小説)

一番一番おすすめしたいのはこのミステリー小説です「シャードレイク」シリーズ。

フィクションですし、主人公シャードレイクは王族ではなくクロムウェルの部下の弁護士ですが、ちょうどヘンリー8世の時代の物語で、「チューダーズ」でおなじみの名前や出来事がたくさん出てきます。

「あの時宮廷の外はこんな空気だったんだろうな…」と思いながら読めるので楽しさ倍増です。

小説のあとがきでは訳者さんが、「当時の英国史を知るのにおすすめの作品」として「TUDORS」を挙げています。

現在3作品が翻訳されている「シャードレイクシリーズ」。各作品の内容を簡単に。

 

チューダー王朝弁護士シャードレイク

ジェーン・シーモアが産褥で死んでしまった直後の物語です。

クロムウェルの命を受け、修道院で起きた殺人事件の調査に赴いたシャードレイクは、無残な遺体に愕然とします。

頭を切り離された首。その切り口は斧ではなく剣で切り落としたかのよう。

シャードレクは、先日見たアン・ブーリンの処刑を思い出し、陰鬱な気分になるのでした。

…と、こんな感じです。

他にロバート・アスクの名前がちらっと出たり、トマス・ワイアットの詩の一節が引用されたりしています。

マーク・スミートンの拷問と処刑の話題は何度も出てきます。

 

暗き炎-チューダー王朝弁護士シャードレイク

姪が無実の罪で逮捕されたと言う友人の依頼で殺人事件を調査中のシャードレイクのもとにクロムウェルの使者がやって来ます。

ドロリと黒く独特のにおいがあり、船すらも瞬時に焼き尽くすほどの威力を持つ東ローマ帝国の秘伝“ギリシア火薬の正体と製法をつきとめよ」

それが司令でした。

国王がギリシャ火薬に興味を持ち、実演してみせるようクロムウェルに要求していると。

次のお后候補として薦めたアン・オブ・クレーヴズを気に入らなかったヘンリー8世の覚えを取り戻そうと、今のクロムウェルは必死なのです。

ノーフォーク公トマス・ハワードの姪である17歳のキャサリンがもう宮廷に入っているとも噂されています。

チューダーズTUDORS背徳の王冠ヘンリー8世の妃と愛人親戚関係相関図

「お后様が変わったらまた宗教が変わるかもしれない」

「クロムウェルが失脚してノーフォークの時代になったら風向きが…」

…などなど人々が戦々恐々とする中、殺人事件とギリシャ火薬のふたつの謎解きが進行するミステリーです。

ノーフォーク、クロムウェル、アン・オブ・クレーヴズ、キャサリン・ハワードの他、ガーディナー司教トマス・クランマーの話題も出てきます。

 

支配者-チューダー王朝弁護士シャードレイク

シリーズ3作目ではヘンリー8世が登場します。

TUDORSではシーズン4。ヘンリーの北部巡幸にシャードレイクが随行することになります。

クロムウェルはもう処刑されていて、今回シャードレイクに仕事を指示するのはカンタベリー大司教のクランマーです。

シャードレイクが命じられたのは、謀反人をロンドン塔へ送り届けることでした。

ところがヨークのガラス職人が墜落死する事件が起こり、シャードレイクはその捜査に加わることになります。

バラ戦争に端を発する王の血統に関する疑惑、深夜に王妃の部屋を訪ねる侍従…知りたくないことまで知ってしまったシャードレイクの身に危険が迫り…という物語。

キャサリン・ハワード、カルペパー、デーラムetc.が登場。ロッチフォード夫人はやっぱりちょっとおかしい人として描かれています。

あとはヘンリーの膿んだ腫瘍の異臭の話とか…ロバート・アスクやウィル・サマーズ(道化師)の名前も出てきます。

 

嘆きの王冠 ホロウ・クラウン ヘンリー六世(ドラマ)

シャードレイクの「支配者」で「バラ戦争が分かりにくいな」と思ったら「ホロウ・クラウン」の「ヘンリー6世」を見てください。

「ホロウ・クラウン」は、シェイクスピア劇を「リチャード2世」→「ヘンリー4世」→「ヘンリー5世」→「ヘンリー6世」→「リチャード3世」と時代順にみられるように作られたドラマです。

「ヘンリー6世」がバラ戦争にあたり、ホロウ・クラウンではシーズン2の前半が「ヘンリー6世」になります。

プライムビデオにはS1しかありませんが、U-NEXTならシーズン1、2すべて見放題になっています。(2020年6月の配信状況です)

ややこしいバラ戦争がちゃんと分かりますし、最後(シーズン2の最後、「リチャード3世」の最後)まで見ると、ヘンリー7世(ヘンリー8世の父)が出てきて、「ああチューダー朝ってこうやって始まったのね」と理解できます。

とは言えこれはシェイクスピア原作のお話でして…

「ホロウクラウン」を見たら、ぜひ「時の娘」も読んでいただきたいなと。

 

時の娘(小説)

上記シェイクスピアのシリーズはエリザベス1世の時代に作られたものです。

ゴールデンエイジのイングランドの繁栄を謳歌する空気のもとで上演されたものなだけに、歴史解釈はやはりチューダー朝寄りの傾向が強いのです。

特におしまいの「リチャード3世」では、国王リチャード3世が甥殺しの大悪人として描かれています。

定着してるリチャード3世の悪評の原因はこのシェイクスピア劇だとも言われています。

最近はリチャード3世を再評価する動きがあり、甥殺しについても本当にリチャードが関わっていたのかどうか疑う向きも。

その代表的な作品がジョゼフィン・ティの小説「時の娘」です。

怪我で入院中の警察官が見舞い客に集めてもらった資料からリチャード3世の真実を探る、一種の安楽椅子探偵もの。

すごく面白いです。