「おとなの事情」登場人物のダメージ度を集計して分かった秘密をバラしてはいけない理由
「おとなの事情」は、2016年のイタリア映画(パオロ・ジェノヴェーゼ監督)です。
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞作品賞と脚本賞、アメリカ・トライベッカ映画祭脚本賞、ノルウェー国際映画祭観客賞受賞作品
月食の夜、親しい友人7人のホームパーティで、スマホを人に見せられるかどうかの話題になり、全員がスマホをテーブルの上に出すことに。
着信のたびに明かされる秘密には、とんでもないことも…。
というお話です。
誰のどんな秘密がバレて、誰がどれだけ傷ついたのかを集計してみたところ…
勉強になりました!
Contents
- 1 秘密リストのその前に…「おとなの事情」の登場人物
- 2 集まったメンバーが始めるゲーム
- 3 誰のどんな秘密がどうやってバレたのか ゲーム中のメールと電話のリスト
- 3.1 コジモ←?(メールと電話):いたずらメール
- 3.2 ペッペ←妹マルタ(電話):ルール違反
- 3.3 エヴァ←父(電話):豊胸
- 3.4 エヴァ←カルロッタ(キッチンでの会話):カウンセリング通い
- 3.5 ペッペ←レレ(ベランダでの会話):スマホ交換
- 3.6 カルロッタ←スティーブ・ジョブス(電話):PC修理
- 3.7 ロッコ、コジモ、レレ←友人ジュリオ(メール):サッカー
- 3.8 コジモ←マリカ(メール):タクシー無線
- 3.9 ペッペ←アプリ:ダイエット
- 3.10 ペッペ(レレの携帯)←クレメンティーニ:画像
- 3.11 レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動1
- 3.12 ロッコ←業者(メール):予約
- 3.13 カルロッタ←業者(メール):老人ホーム
- 3.14 ビアンカ←元彼イヴァノ(メール):恋愛相談
- 3.15 ロッコ←娘ソフィア(電話):彼の家に泊まる?
- 3.16 レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動2
- 3.17 レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動3
- 3.18 レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(電話):同性愛騒動4
- 3.19 レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動5
- 3.20 コジモ←友人マウリティオ(電話):指輪とピアス
- 3.21 コジモ←マリカ(電話):妊娠
- 3.22 コジモ←エヴァ(会話):エヴァ怒る
- 3.23 カルロッタ←フェイスブックの男(メール):ノーパン
- 3.24 全員←カルロッタ(会話):死亡事故の真相
- 3.25 カルロッタを除く全員←ペッペ(会話):同性愛騒動5
- 3.26 あれこれバレてみると実はこうだった登場人物相関図
- 4 それぞれのダメージを集計すると…
秘密リストのその前に…「おとなの事情」の登場人物
秘密保持状態下での登場人物相関図
カップル1 パーティのホスト ロッコとエヴァ
夫ロッコ(マルコ・ジャリ―ニ)は整形外科医、妻エヴァ(カシア・スムトゥニアク)はカウンセラー
17歳の娘ソフィア(ベネデッタ・ポルカローリ)はお父さん子で母エヴァには反抗している
カップル2 新婚のコジモとビアンカ
夫コジモ(エドアルド・レオ)は色々な商売に手を出しては失敗している個人事業主で今はタクシー運転手。妻ビアンカ(アルバ・ロルヴァケル)は獣医
※コジモ役のエドアルド・レオが貧乏学者の役で主演する映画「いつだってやめられる」最っ高です!
おすすめとかでなく「見ろ」と言いたいくらいとにかく最高です。
カップル3 姑と同居のレレとカルロッタ
夫レレ(ヴァレリオ・マスタンドレア)妻カルロッタ(アンナ・フォリエッタ)ともに職業は不明
息子ブルーノと娘のローザはまだ小さい
レレの母と同居している(嫁姑の仲は良好とはいえない雰囲気)
カップル4 ペッペと体調不良で欠席のルチッラ
離婚歴のあるペッペ(ジュゼッペ・バッティストン)は失業中
最近つき合いはじめたルチッラを今日みんなに紹介する予定だったが、ルチッラが熱を出したのでペッペひとりでパーティに来る
集まったメンバーが始めるゲーム
- 全員スマホをテーブルの上に置く
- 電話が来たらスピーカーで話す、メールが来たら読み上げる
パーティの間、携帯電話でのコミュニケーションのすべてを公開するということです。
電話の相手に、スピーカー通話であることを知らせるのもダメ。
誰のどんな秘密がどうやってバレたのか ゲーム中のメールと電話のリスト
どうでもいいものもあります。別荘の予約とか。
それぞれのネタが出たことによる関係人物のダメージ度を5段階評価で入れて見ました(私見)
このゲームによるダメージには、「バレちゃったダメージ」と「知っちゃったダメージ」の2種類があるので、
バレダメージ=グリーン×
知りダメージ=赤×
で分類します。
格付けは5段階。
※この下はネタバレになります。
コジモ←?(メールと電話):いたずらメール
「あなたが欲しい」のテキストメッセージの後に電話
電話に出ると何も言わない
娘のソフィアと廊下に出ていたレレのいたずらだった
ダメージ度…ゼロ
ペッペ←妹マルタ(電話):ルール違反
ペッペがうっかり「ロッコの家でスピーカーで話している」とバラしてしまって電話終了
ダメージ度…ゼロ
エヴァ←父(電話):豊胸
腕のいい医者が予約できると言う用件
エヴァは豊胸手術を予定していると告白
エヴァのバレダメージ度…×
これから起きることに比べたら豊胸くらいなんでもない
エヴァ←カルロッタ(キッチンでの会話):カウンセリング通い
ロッコがエヴァに内緒でカウンセリングに通っていることをカルロッタがバラす
ロッコのダメージ度…ゼロ
結果的にバレて良かったように見える
ペッペ←レレ(ベランダでの会話):スマホ交換
ここでレレとペッペがスマホ交換
レレは、毎晩10時に女友達クレメンテーニからメールが来るのでちょっとマズい
そこで同じ機種を使っているペッペに交換を頼む
カルロッタ←スティーブ・ジョブス(電話):PC修理
PC修理完了のお知らせ
PCの修理屋をその名で登録していた
ダメージ度…ゼロ
ロッコ、コジモ、レレ←友人ジュリオ(メール):サッカー
明日のサッカーのお誘い
ペッペにだけメールが来ない…
ペッペの知りダメージ度…××
思い出して悶々としたり偶然かと思い直したりを繰り返してしまいそう
ロッコ、コジモ、レレのダメージ度…×
ペッペをはずしたのはジュリオだけれども、こういうのは後々に響く
コジモ←マリカ(メール):タクシー無線
「電話して!!!」とメール
マリカはタクシー会社の無線係で面倒な時は返信しないのだとビアンカが説明する
ダメージ度…ゼロ
ペッペ←アプリ:ダイエット
アプリが鳴ったらいかなる状況でも指示された運動をせよと言う減量支援アプリ
ペッペはその場で奇妙なワークアウトを始める
ダメージ度…ゼロ
このゲームをしていなくてもきっとペッペはアプリに従ってエクササイズをやったと思う
ペッペ(レレの携帯)←クレメンティーニ:画像
問題の10時の女性
毎晩送って来る写真はなんでもないものだと説明されていたが、この日のものは…
「どの向きで見るのが正しいの?」「ピラティス中だろう」とかの話になっていることから、たぶん…
ダメージ度…ゼロ
レレに届いた画像だけどみんなはペッペ宛と思っているのでとりあえずゼロ
レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動1
ルチオシリーズはこの後何度かのやり取りに続くのでダメージ度は暫定です
「大丈夫?」とメール
受信したのはペッペの携帯なので(レレとペッペはスマホを交換している)意味の分からないレレは「職場の同僚だ」とごまかす
ペッペは返信するよう必死にすすめる
ダメージ度…ゼロ
レレもペッペもとりあえずゼロ
ロッコ←業者(メール):予約
別荘予約完了のお知らせ
ダメージ度…ゼロ
カルロッタ←業者(メール):老人ホーム
老人ホームの空室状況のお知らせ
同居しているレレの母を老人ホームへ入れようとしているのかと疑われる
カルロッタのバレダメージ度…×××
レレの知りダメージ度…××
今度の態度が難しくなったのはむしろレレの方
ビアンカ←元彼イヴァノ(メール):恋愛相談
「やりたくなってきた」とメール
セフレに本気になってしまったという元彼の相談に乗っているそうで、ビアンカはその場でイヴァノに電話をかけて「彼女に会いに行ってはダメよ」と話す
疑いは晴れるがコジモはすっきりしない
ビアンカのバレダメージ度…×
最終的にはこのダメージはないに等しいくらいになる
コジモの知りダメージ度…×
最終的には「これで傷ついたとは笑わせる」と言いたいくらいになる
ロッコ←娘ソフィア(電話):彼の家に泊まる?
彼に「親が留守だから泊まれ」と誘われて迷っていると相談
ロッコは「後悔しないと確信できるなら泊まれ、そうでないなら帰ってこい」と言う
続く会話からソフィアが持っていたコンドームはロッコが渡したものだったことがばれる
しかもソフィアはエヴァの悪口を言い始める
ロッコのバレダメージ度…×
エヴァの知りダメージ度…××
ソフィアの気の毒度…×××××
これはスピーカーにしなくてもよかったと思う…
レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動2
※ルチオシリーズPart2
「返事しろ」とメール
レレは仕方なく「友達と食事中だ」と返信
ダメージ度…ゼロ
まだレレもペッペもどうにか無傷
レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動3
※ルチオシリーズPart3
「クソ野郎」とメール
カルロッタはルチオは実は女ではないかと疑い始める
レレのバレダメージ度(暫定)…×
ペッペの対ルチオダメージ度(暫定)…××
この時のペッペのヤバさは、このパーティの席にはない。帰ってからルチオをどうなだめるかの問題だけ。なので別口のダメージとカウント
レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(電話):同性愛騒動4
※ルチオシリーズPart4
「熱があるのに出かけるなんて!優柔不断で最低!男が好きか女が好きか自分でも分からないんでしょ!」
…で、ガチャ切り
レレは、ルチオ(同僚)はゲイで一方的に俺に惚れているのだと釈明
レレのバレダメージ度(暫定)…××
そろそろ本気でおかしいと思われ始めている
ペッペの対ルチオダメージ度(暫定)…×××
もう帰った方がいいよ…
レレ(ペッペの携帯)←ルチオ(メール):同性愛騒動5
※ルチオシリーズPart5
「キスが欲しい」とメール
コジモは、幼馴染で風呂やベッドをともにしたこともあるのに同性愛者であることを隠していたのが許せないとレレを責める
カルロッタがしつこく「いつからなの?」と聞き、レレはとうとう「最近だ」と答えてしまう
レレのバレダメージ度(暫定)…×××××
事実でないことでダメージMAXのレアケース。 なぜ「最近」と答えた…
ペッペの知りダメージ度(確定値)…×××××
友人の同性愛者に対する本音を見たショックは計り知れない
コジモ←友人マウリティオ(電話):指輪とピアス
「指輪は気に入ってもらえたか?」と電話
これはビアンカに贈った指輪のことと思われるので問題ない
ところが続けて「ピアスはどうだった?」
ビアンカはピアスをしていない
コジモのバレダメージ度…××××
まだごまかしも不可能ではないので4
ビアンカの知りダメージ度…××××
今はまだ納得のいく説明を期待しているところ
コジモ←マリカ(電話):妊娠
配車係の(はずの)マリカからの電話
コジモは無視しようとするがビアンカが無言で電話をとると「妊娠したみたい。どうしよう」
コジモのバレダメージ度…×××××
終わった
ビアンカのダメージ度…×××××
ビアンカはトイレで吐き、ついていったカルロッタが中から鍵をかけてコジモを閉めだす
コジモ←エヴァ(会話):エヴァ怒る
エヴァは廊下でピアスをはずしてコジモに投げつけ「最低のクズね!」
他にこのやり取りを聞いているメンバーはいないので、しいて言えば視聴者にふたりの不倫がバレただけ
コジモのダメージ度…ノーカウント
もう終わってるから
エヴァのダメージ度…ノーカウント
それなりに傷ついたとは思うけれども、エヴァの不貞でもあるわけでコジモに腹を立てるのは筋違い
カルロッタ←フェイスブックの男(メール):ノーパン
「ノーパンかい?」とメール
カルロッタはFBで知り合っただけで会うこともない相手だと言うが、レレはこの場で電話しろと迫り、カルロッタのスマホから勝手に発信する
繋がった電話に横からエヴァが応答し、やり取りから、カルロッタがその男に電話したことはなく、会う気もないことが証明される
カルロッタのバレダメージ度…××
普通ならもっとマズいかもだけど、もう妊娠してなきゃいいよくらいの状況なので
レレの知りダメージ度…×
FB男には自分にも言わないことを話している雰囲気が…
全員←カルロッタ(会話):死亡事故の真相
レレに「ノーパンなのか」としつこく聞かれてやけになったカルロッタは、以前に死亡事故を起こしたが、飲酒運転だったためにレレが運転していたことにして罪を軽くしたことをみんなにばらしたうえ、愛は消えてもその罪悪感で離れられないと言ってしまう
カルロッタのバレダメージ度…×××
この時3つばれている(ばらしている)
1.飲酒運転で人を死しなせたけどレレが罪をかぶった
2.愛が消えている
3.ノーパンである
逮捕級のネタもあり周囲の見る目が変わるのは避けられない
レレの知りダメージ度…××××
みんなの前で「愛が消えている」と言われてしまったら…
カルロッタを除く全員←ペッペ(会話):同性愛騒動5
※ルチオシリーズFinal
カルロッタの帰った後、ペッペが「ホモは俺だ」と携帯交換を告白
ペッペのバレダメージ度(確定値)…××
衝撃的なだけで悪いことを知られたわけではない
ペッペの知りダメージ度(確定値)…×××××
長年の友人を一度に失った
ペッペ以外の全員のバレダメージ度…×××
バレたのは同性愛に対する偏見。ペッペの「今夜カムアウトしたのは俺じゃなくみんなだ」という言葉は重い
レレのバレダメージ度(確定値)…ゼロ
ルチオの相手がレレでなかったことがはっきりしたのでレレのゲイネタにまつわるダメージはゼロにリセット
実はここでクレメンティーニの画像はレレ宛だったとバレてるけど、もはや問題外
あれこれバレてみると実はこうだった登場人物相関図
それぞれのダメージを集計すると…
各登場人物のダメージを合計するとこうなります。
(同性愛に関する一連のことは確定値で計算)
バレダメージ | 知りダメージ | |
ロッコ | 5 | 0 |
エヴァ | 4 | 2 |
コジモ | 13 | 1 |
ビアンカ | 4 | 9 |
レレ | 4 | 7 |
カルロッタ | 13 | 0(5) |
ペッペ | 2 | 7 |
一見すると全体にバレダメージの方が知りダメージよりも大きいように感じられますが、実はこの数値は、バレダメージは大きめに、知りダメージは小さめに出る理由があるのです。
バレダメージが大きく出る理由
まず、ペッペ以外の全員に同性愛に対する偏見が露呈したバレダメージ3が加算されているので、その分バレ数値が大きくなっています。
でも本当にペッペの言うようにあの場にいた全員が同性愛を嫌悪していたとはは思えません。
カルロッタの動揺は、自分の夫が男と関係していたと知ったからであって、そういう相手でなければあんなに取り乱すことはなかったはずです。
他のメンバーにしても、カルロッタの剣幕の中、何も言い出せず黙り込んでいたというのが実情でしょう。
「なぜ今まで言わなかったんだ」と責めるコジモにペッペが大きなショックを受けたことは想像に難くありません。
「長年の友達でもこんな反応か」と思い落胆したことでしょう。
でもそうではく、長年の友達だからこそ驚いてあんなことを聞いたのでは?
出会った時に相手がゲイだと知った場合には「ああそう」くらいのものかもしれません。
レレに至っては途中から明らかにペッペをかばっています。
「今夜カムアウトしたのはみんなの方だ」と言ったペッペも、時間がたてば冷静になって、受け止め方が極端すぎたと思い直すかもしれません。
そうするといずれ彼らのバレダメージは減少することになります。
知りダメージが小さく出る理由
知りダメージ0がふたりいます。ロッコとカルロッタ。
ロッコは、エヴァとコジモの浮気をここでは知らされていません。
知っていたら「+5」だったでしょう。
カルロッタについても、ペッペがゲイは自分だと打ち明けたのはカルロッタが帰った後なので、本人はまだ夫が最近同性愛に目覚めたと思い込んでいる状態です。
なのであの時点での知りダメージは「5」です。
すぐに真相を知るであろうと予想されることからゼロとしましたが、「5」でもいいくらいです。
ペッペに関してのみ、上述の理由から知りダメージはいずれ和らぐのではないかな?と思いますが、その時には全員のバレダメージも低下します。
秘密を秘密にしておくほうがいい理由
私が言いたいのは、無思慮に秘密を公表することは、知ってしまう人の方をも傷つけるということです。
このゲームには、知る人への配慮がありませんでした。
また、電話の向こうの相手、つまりゲームに同意していない人の秘密も暴いてしまうという問題も。
「生涯忘れない思い出の夜」をよそのおじさんやおばさん、一番知られたくない母親にまで知られているソフィアが気の毒でなりません。
クレメンティ―ニ嬢だって他の人にまで見られると思って送信した画像じゃなかろうに…
隠していたものが表へ出る時、その影響は多くの人に及び、想像以上に傷つけてしまうこともあるのだなと、映画「おとなの事情」を見ていて感じました。
隠していること、黙っていることには、そうしたほうがいい理由があります。
秘密とは思いやりのベールでもあり、みだりに晒していいものではありません。
持ち主と他者のプライバシーを満載したスマホというデバイスは、「見ない見られない見たがらない」これが原則でしょう。