ザ・ミッシング-消えた少年 あらすじ感想と結末に関する制作陣コメントなど
米英合作でゴールデングローブにノミネートされたドラマ「ザ・ミッシング~消えた少年~」のあらすじ、感想など。
舞台はフランスですが、失踪する少年はイギリス人で、登場人物はフランス、イギリス、ベルギーと欧州をカジュアルに行き来します。
ユーロドラマといった趣向なのでしょう。
Contents
ザ・ミッシング「消えた少年」あらすじ
ネタバレなし。大体第1話でわかる範囲の話です。
オリバーは、両親トニーとエミリーに連れられフランスを旅行するイギリスの少年(5歳)です。
ワールドカップに沸くフランスの田舎町シャロン・デュボアで休暇を過ごす一家でしたが、トニーが目を離したわずかな隙にオリバーの姿が見えなくなってしまいます。
「わずかな隙」って、そりゃもうね、本当にわずかな時間なのです。10秒もなかったかも。
事件報道に町は騒然とし、パリから伝説の刑事ジョルジュ・バティストが招聘されますが、オリバーの行方は分からず、8年が経過。
今もオリバーを探し続ける父トニーは、新たな手がかりを頼りに再びシャロン・デュ・ポアを訪れますが、人々の反応は冷たく、現地警察からは迷惑行為として警告を受けてしまいます。
警察を引退しているバティストだけが、トニーに協力姿勢を示し、とある民家からオリバーの痕跡を発見します。
時間とマンパワーに限りのある中、トニーとバティストの調査は実を結ぶのか、それとも…
…と、こういうお話です。
失踪したオリバーに何が起きたのかを探る物語ですが、登場する人物には意外な一面を隠し持つ者が多く、捜査の過程でそうした裏の顔が明らかになっていきます。
「人格とは複雑なものである」というのが、「ミッシング~消えた少年~」の根底に流れるテーマです。
ザ・ミッシング「消えた少年」の登場人物
失踪する少年と家族
オリバー・ヒューズ…両親とのフランス旅行中に行方不明になる男の子、5歳のイギリス人
トニー・ヒューズ…オリバーの父親
エミリー・ヒューズ…オリバーの母親
家族の関係者
ロバート…エミリーの実父
ペニー…エミリーの実母
グレッグ…エミリーの古い友人
捜査関係者
ジュリアン・バティスト…ベテラン刑事。オリバー事件のすぐ後に引退している。隠居生活ではじめた趣味は養蜂。
ローレンス・ルロー…シャロン・デュ・ボワの警察官女性。事件当時は見習い?
ジアン…モロッコ系の警察官、シャマルティーヌという別名を持っているらしい
アヌアル…ジアンの息子
ジョルジュ・デロワ…予審判事兼シャロン・デュ・ボワ町長
マーク・ウォルシュ…イギリスの警官でオリバー事件の連絡官
ジェームズ…マークの息子、オリバーと同い年
ジュリアンの関係者
レオン…覆面警官。ルーマニアの犯罪組織ケイズ・デ・シテの潜入調査を担当
リニ…ルーマニア人女性教師
マーティン…リニの兄
シャロン・デュ・ポア住民
アラン…ヒューズ夫妻の宿泊するホテル「エデン」のオーナー
シルヴィー…アランの妻
マリク・スーリ…フリージャーナリスト
ヴィンセント・ボーグ…オリバー事件の最初の容疑者
イアン・ギャレット…ヒューズ夫妻に資金提供を申し出る富豪
カール・ジーク…シャロン・デュ・ポアの清掃業者。事件後転居
アレックス…オリバー事件の3年後に同じ町で行方不明になるフランス人少年
ダニエル…アレックスの母
クロード・デュ・シャン…アレックスの父親でダニエルと離婚調停中
ザ・ミッシング「消えた少年」感想
※ややネタバレです。結末の大枠は分かってしまうのでご注意を。
失踪の謎を解きながら、人の多面性を描いた物語でした。
善人に見える者の暴力歴が暴かれたり、教職に就く者に意外な過去があったりする一方、小児性愛者である青年は、自身の嗜好に苦悩していて、単純に悪人と呼ぶことはできない人物です。
優秀な刑事で人格者として尊敬されるバティストも、娘が薬物に依存するのを止めることができず、家庭は荒れています。
人の過去や胸のうちは意外なものであると思い知らされながら進行する物語の中、オリバーの運命を変えたのもまた意外な人物でした。
もしもトニーが最後の手がかりを見つけなかったら、犯人は周囲から善良な人間と思われたままその一生を終えたことでしょう。
オリバーを探し続けたトニーが信じていたものは、事件の解決ではなくオリバーの生存でしたが、その執念が導き出したのは、最も残酷な結論でした。
ラストは二通りの解釈ができる作りになっていますが、私は、あの子はオリバーではないと思います。
トニーが何度も捕まっている風なことからもそう感じられますし、オリバーだとすれば5歳まで両親と暮らした記憶がきれいさっぱり消えている風なのも不自然です。英語も全く分からない様子でした。
車のウィンドウの絵は、トニーが描いたのでしょう。
オリバーへのメッセージになると信じて描いているのかもしれませんし、自分で書いたことを忘れてオリバーの絵と思い込んでいるのかもしれません。
現実を受け入れ、次の人生を歩みだしているエミリーに対して、あまりに悲しすぎるようにも見えますが、トニーは、ああしているほうが幸せなのでしょう。
トニーにも新しい出会いはありましたが、彼女との関係を続けずに旅立ってしまったことがそれを物語っています。
それにしても、ひとり息子の失踪という悲劇に遭遇した夫婦が事件後に取る行動が、父親と母親で全く違うのが印象的です。
私ならどうするかな?
トニーと同じようなことをしてしまうかもしれません。
探すのをやめた時本当にその子を失ってしまうような気がして、やめるにやめられずにいるうちに、どこかで生きているという妄想が、動かしがたい信念に変わっていく過程なら想像できます。
ミッシングの最後について主演のネスビットの談話
トニー役のネスビット氏の話が出ている記事がありました。
(訳)
最後の少年はオリーではないよ。
オリーは死んで、トニーは狂気の世界に慰めを見出している。
私はそういう演技をしたんだ。
James Nesbitt: I won’t be in The Missing series two…but Olly could still be alive
でも!
監督のトム・シャンクランド氏が
待って待って。あれはオリーだよ。
そこは曖昧に!
James Nesbitt: I won’t be in The Missing series two…but Olly could still be alive
と、付け加えてもいます。
見る人が感じたままで…というスタイルなのでしょう。
どこかで生きていて、普通の家で大切に育てられているならうれしいので、そう思っておいてもいい…のかも?
ザ・ミッシングは、消えた少年のシーズン2を作るのではなく、アンソロジーとして「ザ・ミッシング囚われた少女」が制作されました。
別の家族の物語ですが、捜査に当たるのはジュリアン・バティストです。