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鬼平犯科帳スペシャル「一本眉」登場人物キャストとあらすじ感想など

2019年3月17日

鬼平犯科帳」は池波正太郎の時代劇シリーズです。

何度も連続ドラマになっていますが、2001年にレギュラー放送を終えてから14本の2時間スペシャル版が制作されています。

「一本眉」

鬼平犯科帳スペシャル「一本眉」は2007年制作のドラマです。

「鬼平犯科帳」文庫版では13巻に収載されている「一本眉」と「墨つぼの孫八」が原作です。

鬼平犯科帳「一本眉」ゲスト登場人物

主要キャストは、すべて中村吉右衛門版の出演陣が続投しています。

清洲の甚五郎(きよす-の-じんごろう)

演:宇津井健

左右の眉が眉間でつながっていることから一本眉とよばれる盗賊。

与吉(よきち)

演:山田純大

一本眉の手下

三橋重慶みつはしじゅうけいの斜め向かいで貸馬屋を営んでいる

おみち

演:大路恵美

飯田町の茶葉問屋亀屋に女中奉公している一本眉配下の引き込み女

倉淵の佐喜蔵(くらぶち-の-さきぞう)

演:遠藤憲一

一本眉の手下だったが今は別れて別の盗賊を率いている

茂の市(しげのいち)

演:火野正平

盲目のあんま

腕がいいので評判

鬼平犯科帳「一本眉」あらすじネタバレなし

真っ二つの錠前と皆殺し

音羽の打ち物問屋豊島屋に押し込みが入り、一家と雇われ人十七名が皆殺しにされました。

高価な商品を盗まずに逃げている雑な仕事ぶりは、急ぎ働きを想像させますが、まっぷたつに斬られた錠前の切り口は鮮やかで、こんなことが出来るとすれば境の鉄砲鍛冶くらいだと言われるほど。

どこかちぐはぐでつかみどころのない盗賊です。

手がかりも見つかりません。

豊島屋に出入りしていた盲目のあんま師しげいちが手引きしたのではないかと疑惑が持ち上がりますが、茂の市は湯治に行っているとかで話を聞くこともできません。

一本眉と忠吾

木村忠吾は、田楽屋で眉のつながった爺さんと知り合いました。

おいしい田楽を目当てに通ううちに、行きつけ同士で話をするようになったのでした。

一本眉とおまさ

おまさには一本眉のほうから近づいて来ます。

一本眉は、行商姿で歩いているおまさに商売をしている気配がないことに気付いていました。

「一緒に働かないか」と誘う一本眉は、清州きよす甚五郎じんごろうと名乗ります。

おまさは、その名前をよく知っていました。

狐火の親方のもとにいた頃、決して血を流さない職人気質の大盗賊と、甚五郎の評判を聞いていたのです。

それほどの盗賊が、自分などに助力を仰ぐとはどうしたことかと、おまさは、わけを尋ねました。

「親方のところには、あの倉淵くらぶち佐喜蔵さきぞうさんがいるはずじゃ」

甚五郎は、「佐喜蔵はもういない」とだけ言うと言葉を濁します。

一本眉が豊島屋を襲ったのか

一本眉は、若い頃に境で鉄砲鍛冶の修業をしていました。

火付盗賊改めは、ちょうど豊島屋のおしこみの一件で鉄砲鍛冶出身の盗賊を探していたところです。

一本眉が江戸へ来て、手始めに豊島屋に押し込んだように見えますが、殺さず犯さずのおつとめで名高い一本眉と豊島屋の皆殺しがどうにもそぐいません。

一本眉らの他にも錠前を切る技を持つ盗賊がいるのかもしれません。

一本眉の狙いは三橋重慶

おまさは粂八くめはちを盗っ人仲間として一本眉に紹介します。

甚五郎の明かした今度のおしこみ先は、仏具屋の三橋重慶みつはしじゅうけい

それを聞いておまさも粂八も顔色が変わりました。

三橋重慶といえばそれはそれは警備が厳重なことで知られていて、おしこみなど無謀です。

でも甚五郎には自信があります。

「これは一世一代の大仕事だ」と宣言し、どうしても三橋重慶を狙うつもりです。

三橋重慶向かいの貸馬屋

三橋重慶は、向かいの貸馬屋を店ごと買い取り、店を広げようとしています。

貸馬屋はなかなか色よい返事をせず、交渉は難航していましたが、大金を積んでようやく立ち退きに応じさせたのでした。

来月には貸馬屋は空き家になり、三橋重慶の店に変わります。

与吉とおみち

貸馬屋の与吉よきちが、店の前を通りかかるおみちに気付きました。

与吉とおみちは、ふたりとも一本眉の下で働く盗賊で、おみちは三年前から飯田町の茶葉問屋亀屋に奉公勤めしている引き込み役です。

ふたりは、まず三橋重慶、次に亀屋におしこんだら、尾張に帰って所帯を持とうと約束しています。

鬼平犯科帳「一本眉」あらすじネタバレ版

以下はネタバレです。

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平蔵と一本眉

平蔵は、甚五郎のあとをつけます。

人気のない道に差し掛かると、刀を抜いた男たちが、甚五郎を取り囲みました。

平蔵が躍り出て刺客を斬り、甚五郎のけがを手当てしてやります。

その夜平蔵は、役宅へ帰らず、朝まで甚五郎の家で飲み明かしました。

飲みながら一本眉の甚五郎は、色々なことを話します。

甚五郎は、板橋の鍛冶屋に生まれましたが、心の臓の弱い家系で、十三の時には親兄弟がみんな死んで天涯孤独になりました。

それで境の鉄砲鍛冶に弟子入りしたのです。

岡部宿おかべじゅくの女と情を交わし、その女との間には男の子が生まれました。

「二人にまとまった金を残してやりたい」

最後に大きなおつとめに挑むのは、その一心からでした。

ずいぶんと心を開いた一本眉は、平蔵をおしこみに誘います。

「物騒なことはない。千両箱を運ぶだけ」と言われ、手付金の五両まで受け取って、平蔵は仲間になりました。

亀屋への畜生働き

そんな時、おみちのいる亀屋に盗賊がおしこみますが、おみちは驚いて隠れています。

押しこんで来たのは、一本眉の手の者ではなく一味を抜けて急ぎ働きをしている佐喜蔵たちだったのです。

それにしてもどうして佐喜蔵は亀屋のつくりを知っているのでしょう。

店の奥から悲鳴が聞こえてきます。

まだ三歳くらいの子供も殺されました。

引き上げていく盗賊たちが「めくらのわりにはいいめ方だ」と話しています。

あんまの茂の市が店の内部を調べて情報を売ったのでしょう。

※嘗め役=店の錠前や間取りなどを詳細に調べ、その情報を盗賊に売る仕事

消えたおみち

盗賊改め同心たちは、押し込みの夜から姿を消した奉公人おみちが引き込み役だったのではないかと話し合っています。

しかし亀屋の惨状は急ぎ働きの盗賊の仕業に違いなく、三年も前から引き込みを入れるような入念さには似つかわしくありません。

田楽屋の地下

おみちは、休業中の田楽屋の地下にいました。

一本眉が、手下を集めてこの後のことを話しています。

亀屋を無残に荒らされた甚五郎は、佐喜蔵を殺すつもりですが、おみちには「もう尾張に帰れ」と言います。

でもおみちは、佐喜蔵の計画に気付かなった自分が許せず、茂の市に怒りを燃やしています。

おみちの敵討ち

甚五郎は、与吉とおみちのことを知っていました。

三橋重慶の仕事が済めば与吉にも足を洗わせてふたりを一緒にさせるつもりで、おみちに先に帰れと言ったのです。

それでもおみちには、尾張に帰る前にやっておかなけらばならないことがあります。

深夜。

おみちは、茂の市に会いに行きます。

包丁を手に向かっていったその時、茂の市の見えないはずの目が開きました。

橋のたもとで血を流すおみちを見つけたのは、与吉です。

与吉は、すぐさま茂の市を探し出し、田楽屋へ連れ帰って殺しました。

田楽屋のふたつの遺体

田楽屋の休業に納得できずに再び店を訪れた忠吾と村松が発見したのは、土間に転がる茂の市地下室に安置されたおみちの遺体でした。

平蔵の目にはその二つの遺体が、非道な畜生働きとそれを憎む一派の争いを映し出しているように見えるのでした。

一本眉の殴り込み

平蔵が一本眉の家に向かうと、中から男の絶叫が聞こえてきます。

斬られたのは佐喜蔵の手下になっていた伊助

甚五郎は、平蔵に「今度のおつとめの話はなかったことに」と告げます。

「これから佐喜蔵を殺しに行かなければならないので、おつとめは無理だ」と言うのです。

平蔵は「佐喜蔵をやりに行くなら俺も手伝う」と言って譲りません。

こうして平蔵は一本眉の舟に乗り、佐喜蔵の居場所へと向かいました。

伊三次からの合図を受けた同心らが、一足遅れて後を追います。

佐喜蔵を前にした甚五郎は、刀を抜こうとしますが、その時胸の発作が起き、うずくまってしまいました。

開き直った佐喜蔵に「やっちまいな」と命じられた手下どもが甚五郎に斬りつけるよりも先に平蔵の刀が舞います。

同心らが到着すると、佐喜蔵一味は残らずお縄に。

「甚五郎しっかりしろ」と呼びかける平蔵の声が聞こえたのかどうか、一本眉は何かを言おうとしたように見えましたが、何も言わずに旅立ちました。

その後

一本眉の仕掛け

与吉らの明け渡した貸馬屋が取り壊される日が来ました。

簡単な普請で、壊すのもわけありません。

縄をかけて引っ張るだけ。

取り壊した家のがれきの中から出て来た男が、三橋重慶の主人に「穴が掘られています」と言っています。

「旦那の金蔵の下まで一本道が」

一本眉が仕込んでいた一世一代の大仕事、無血で大金を盗み出す幕引きのおつとめの手立ては、貸馬屋から掘られた地下道でした。

佐渡送りの与吉

与吉は、この世の地獄と呼ばれる佐渡送りと決まります。

「覚悟しております」と神妙な与吉に平蔵はある頼みごとをしました。

一本眉に借りた金を岡部の妻と子に返して来て欲しい

そう言う平蔵が包んで渡した金は、志と合わせて十両。

果たして与吉は、その金を届けて帰って来るでしょうか。

物語は、こう結ばれています。

現存する佐渡の流人帳に「与吉」と言う名はなく、後世に伝えられる長谷川平蔵の仕事のそこかしこに「一本眉」と名乗る密偵の働きが見られる。

鬼平犯科帳「一本眉」の感想など

盗っ人が正体を知らずに平蔵と親しくなる話は、「鬼平犯科帳」にたびたび出て来ますが、「一本眉」では、忠吾と村松、おまさと粂八、最後に平蔵と、次々に交流を持つところが珍しくて面白いです。

その中で私たちも清州の甚五郎という爺ちゃんを好きになり、最後は、一緒に佐喜蔵討伐の舟に乗っている気持ちになります。

死に際、一本眉は何を言おうとしたのか。

話せなくて無念だろうと感じましたが、三橋重慶地下の仕掛が明らかになると、こんなに面白い土産を現世に置いて行ったのだから何も言い残す必要はなかったんだなと思えました。

与吉が最後にとった行動にも驚かされました。

逃げれば命が助かって手元に十両。帰って来ればこの世の地獄への舟に乗る運命。

それでも戻ったのは、清州の甚五郎の名を汚したくない気持ちからだったでしょう。

平蔵への敬愛と忠誠心から働き始めた他の密偵らとは出発点が違う異色の存在です。

平蔵もまた、与吉というより一本眉の心を継ぐはずの者に賭けたのでしょう。

鬼平犯科帳には、小説、ドラマの他にアニメやオーディオブックもあります。

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