映画エスケープ・ルーム(2017米)あらすじなど-人生は悪夢の脱出ゲーム?
「エスケープ・ルーム」というタイトルの映画は複数あり…
死刑囚が無罪放免を賭けて脱出に挑む2018年の「エスケープ・ルーム」、最新2019年アメリカの「エスケープ・ルーム」
ここで話す「エスケープ・ルーム」は上のどちらでもなく2017年アメリカの「エスケープ・ルーム」
ウィル・ワーニック監督、アナベル・スティーブンソン主演で、バースディパーティの余興で脱出ゲームをやったらえらいことになる話のほうです。
↓これ。
「エスケープルーム」の登場人物
登場人物は6人、3カップルだけです。
序盤と終盤にちらっと出る人は何人かいますが、いてもいなくても変わりません。
カップル1:タイラーとクリステン
タイラーの誕生日パーティに集まったメンバーが脱出ゲームの参加者になる
脱出ゲームに申し込んだのは彼女のクリステン
1人1,000ドルの参加費は、クリステンのおごり
カップル2:アンダーソンとナターシャ(夫婦)
パーティに参加していたため成り行きで脱出ゲームにも参加
ふたりとも乗り気ではなかった様子
夫婦仲は微妙な感じで、ナターシャはタイラーと何かある雰囲気
カップル3:コンラッドとタビー
タビーはタイラーの妹
このカップルはとても仲がいい(ちょっと過剰気味)
エスケープルームのあらすじ
ネタバレなしのあらすじ
タイラーのバースディパーティで集まった友人たちに、クリステンは脱出ゲームをプレゼントします。
どこで探したゲームなのか、参加メンバー6人は外の見えないリムジンに乗せられ、目隠しをしてゲーム会場に入ります。
部屋は全部で3つ。
倦怠期っぽい夫婦アンダーソンとナターシャは、手錠をかけられ、互いの手錠が長いひものようなものでつながれていますが、その紐は複雑に絡まっていてなかなかほどけません。
両手が自由になるまでの間にもうケンカが始まっています。
仲の良いコンラッドとタビーはふたりだけの密室と分かるとすぐに抱擁しはじめ、脱出はどうするつもりなのか…
タイラーは薄暗い部屋にひとりです。
クリステンはゲームの幹事なので別室でゲームを見ているようです。
タイラーの部屋のドアは開きませんが、隣の不仲夫婦部屋と会話ができることが分かりました。
隣の部屋に隠されたヒントを探すとタイラーの部屋の鍵が開きます。
こうして脱出ゲームは進行し、5人がこの建物から出られたら成功ということなのでしょう。
出られなかったらどうなるのか…この時は誰もそんなことを考えていません。
この下ややネタバレです
ゲームは順調には進みません。
3つの部屋を行き来できるようになっていたはずが、部屋を隔てるドアの鍵が壊れ、ベタつきカップルコンラッドとトビーがひとつの部屋に孤立してしまいます。
ふたりに危機感はなく、今にも始めちゃいそうなくらい。
気が付くと部屋には何かが噴霧されています。
酸?
まさか…
このゲームは何?失敗すると死ぬの?
残ったタイラー、アンダーソン、ナターシャは、他の出口を探して奔走します。
幹事として優雅にゲームを眺めているはずのクリステンは、裸で鉄格子に閉じ込められて泣き叫んでいます。
クリステンも、このゲームの恐ろしさを知らなかったのです。
エスケープルームの感想など(ネタバレを含みます)
後味最悪の映画ですが…
あの脱出ゲームは一体誰が運営しているものなのでしょう。
クリステンは、ネットからは申し込めないけれども、探そうと思えば簡単に見つかるゲームだと言っていました。
クリステンの目的は、ゲームではなく、タイラーと友人たちの本当の心を知ることだったのかな?と思います。
パーティの前にタイラーは、クリステンにプロポーズらしきことを言っています。
クリステンはそれに答えず、その後、道端のホームレスを「ゴミだ」というタイラーを複雑な表情で見ています。
「Do you love me?」と質問も。
クリステンは、結婚相手になるかもしれないタイラーの性格に不安を感じていて、「彼氏の本心を知る方法はないかしら」と誰かに聞いたのではないかと。
そしてこのゲームを「人の本心を知る方法」として紹介されたのかなと想像しました。
タイラーとナターシャの間に何かがあることも薄々気付いていたでしょうし、結婚すれば義理の妹になるトビーが、どんな人物かも知っておきたかったでしょう。
パーティのメンバーが気のおけない親友同士という関係ではないのは、全員それほど楽しそうにしていないことからも分かります。
そこで大枚をはたいてメンバーを脱出ゲームに招待したものの、まさか命がけのゲームとは思っていなかったでしょう。
ゲームの中では、各人の性格が露わになります。
気楽で深刻ぶらずチームワーク良く問題を解決するトビーとコンラッドの二人は、縁戚関係になるには理想的な人物だったと思いますが、彼らはもういません。
ナターシャは(おそらく)思った通りタイラーに意味ありげににじり寄り、タイラーは、それを邪険に扱っています。
しかし土壇場では、ナターシャがより信用して頼りにしていたのは夫アンダーソンのほうだったと分かります。
タイラーの見せるリーダーシップは、少しずつ独断の色合いを強め、最後にはナターシャを犠牲にする冷酷さが露呈します。
…にしても状況があまりに極限すぎるので、タイラーを簡単に責める気持ちにはなれません。
ゲームの終わりに、「何も知らなかった」と号泣するクリステンに罵声を浴びせるタイラーの前には、二択のボタンが用意されています。
自分を助けるかクリステンを助けるかのボタン。
あのボタンはどういうルールだったのでしょう。
罵られながらタイラーを助けることを選んだクリステンに対し、タイラーは自分を救うほうのボタンを押しました。
単純に選択と逆の結果になるという仕掛けだったのか、ボタンを押すタイミングで決まることになっていたのか…分かりません。
内奥に隠し持っていた醜い心を曝け出したタイラーも結局は死に、ゲームの仕掛人であるクリステンが最後に知ったのは、皮肉にもタイラーを本当に愛していた自分の本心でした。
クリステンはこれからどうやって生きていけばいいのか。
友人を死なせた自分を許すことはできず、これから出会うどんな人のことも信じることができないでしょう。
クリステンは永久に脱出できないエスケープルームの住人になりました。
…つまり「人を試そうなんて考えるもんじゃないよ」というお話?
クリステンがタイラーの本心を知ろうとして計画したゲームだったと勝手に仮定しての話だしなぁ…なんかよく分かんないですね(笑)
最後の電話の男の言葉から考えると、この世界は魔の館であって、脱出する方法は死しかないということになりますが…私はそこに共感できないのでなんとも…
…と、
不満もたくさんある映画でしたが、私が創作作品に一番に望んでいるのは、鑑賞している間は別世界に連れて行って欲しいということなので、その意味では良かったです。