エルサレムズロットの地下道
アブディ・ハウルワダッグが建設中の新モール「ソマリア・ビジネス・センター」は、土台工事が進み、間もなくコンクリートが流し込まれる予定です。
殺したエース・メリルの死体を捨てに行ったアンは、ひときわ深い穴にエースを落としますが、自分も滑り落ちてしまいました。
穴の底でアンは「ダミアン1619」と刻印された何かを見ます。
ごめんなさい。ブツが何なのかよく分かりませんでした。魔女狩りの痕跡?と思いましたが、魔女狩りにしてはちょっと時期が早いですね。
参考:セイラム魔女裁判|Wikipedia
ただ、1619年という年はキャッスルロックの町が誕生した年です。
1話冒頭、アンとジョイが夜道を走る車から見えるキャッスルロックの案内に、「今年(2019年)はキャッスルロック400年目の記念の年」だと書かれています。
※キャッスルロックはS・キングの世界にだけある架空の町です。場所はメイン州。
穴は深く地下水も流れています。
水底には鉄製の足場や梯子があり、誰かがここを通路として利用していたのは明らかです。
水脈を追うと穴は人が一人通れる程度の狭い地下道につながっていて、何度か曲がった先には螺旋階段が。
よく一人で行けるもんだなと感心しますが、アンはその階段を登ります。
突き当たった天井を押し上げると、そこはどこかの家でした。
荒れ果ててとても人が住んでいるようには見えない家の奥から女の声が聞こえてきます。
力を入れて何かを動かそうとしているような声。
女がアンに気付きました。
「誰?」
慌てて家へ逃げ帰ったアンは、どこかにネックレスを落として来たことに気付きます。
廃墟マーステン
モール建設の作業員が、アンのネックレスを見つけました。
一見して女性用と分かるそのネックレスをアブディは「居座っている奴らのものだろう」と言います。
建設地の裏には「マーステン」と呼ばれる廃屋があり、そこにホームレスが住み着いているのだそうです。
昨晩アンが地下から入り込んだあの屋敷です。
ホームレスを追い出そうとマーステンに向かったハサンは、そこで2つの遺体らしきものを目にします。
それが何なのか確かめる暇もなく、ハサンは背後から斧で殴られ殺されました。
頭から血を流したハサンが、階段を引きずられて行きます。
地下へ続くあの階段でしょう。
ジョイの疑惑
エースを殺したばかりでなく、不気味な地下道と廃墟の女を見たアンは、「今すぐこの町を出る」と、荷物をまとめ始めますが、ようやくチャンスという友人のできた娘のジョイは受け入れられません。
憤慨して家を飛び出したジョイは転倒し、古傷が開く怪我をしてしまいます。
病院に運ばれたジョイの処置にあたったのは、ドクターH、ナディア・ハウルワダッグでした。
ジョイの腕には以前に傷を縫い合わせた跡があり、ジョイは「ママが縫った」と説明します。
「ママは、看護師免許を失わないようあちこちを転々としている」のだとも。
何かを言いたげなナディアを見るジョイもまた何かを感じています。
その日、病室でジョイは母の名を検索しました。
「アン・インガルス」
母と自分の情報はネット上のどこにもなく、ジョイは、母が何かを隠して逃げているのだと理解したのでした。
消えたエース
ナディア(ドクターH)から、エースが家に火炎瓶を投げ込んだことを聞いたポップ・メリルは、怒りのままにエースに電話をかけます。
携帯電話は無人の家のテーブルの上で鳴り、ちょうど訪ねて来ていた弟のクリスがその電話を取りました。
エースが電話とトラックを家に置いたままどこかへ消えたことが分かると、ポップの心を不穏な雲が覆います。
アブディが放火の復讐にエースをさらったように思えてなりません。
エースの家へ行ってみると、飼い犬のボビーが玄関を飛び出してアンとジョイのキャビンへ突進します。
エースはここへ?
ポップは病院にアンを訪ね、「夕べエースが家に来ただろう」と問い詰めます。
アンは、
「エースは、セーラムロットでやった『火を使う何か』の準備をしているのを娘のジョイが見たと思い込んで脅迫に来た」
と、ここまでは本当のことを言い
「話していると外に車が来て、銃を持った男が下りるのを見たエースはその男と一緒に森へ行った」
と嘘を付け加えます。
エースよりも数段手ごわいポップの追及でしたが、アンの狡猾さも大変なものでした。
「どんな男だった」と聞くポップにアンはこう答えたのです。
「人種差別はしません。肌の色が違うからと言って中傷は…」
ポップの甥エースと里子アブディ
ポップは、ソマリア難民の受け入れに尽力した人物で、ソマリモールは、ポップの所有していた不動産を解放する形ではじまった商業施設だったのです。
難民の兄妹、アブディとナディアを里子にしたポップは、アブディの商才やリーダー性を買っていて、ソマリモールもアブディに継がせるつもりでいました。
同時に兄妹を正式に養子にしようとも計画していて、アブディも快諾していたはずでしたが、今、モールはポップの甥エースが取り仕切っていて、アブディとナディアはハウルワダッグ姓のままです。
アブディとエース、そしてポップの間で「何か」があったのでしょう。
アブディは近くに新モールを作り、エースとは商売敵に、ポップとは疎遠になっています。
アブディ拉致 by キャッスルロック警察
夜。
ハサンが廃墟で殺されたとは想像もしていないアブディが、待ちくたびれて帰ろうとしたその時です。
数人の男がアブディを取り囲み、車に押し込みました。
男たちはキャッスルロックの警察官で、ポップの手足のように働いている者たちです。
人目につかない地下駐車場のような場所に運ばれたアブディは、椅子に縛り付けられポップと対峙します。
ポップの知りたいことはひとつだけ。
エースをどこへやったのかです。
生きているとしても死んでいるとしても。
でも身に覚えのないアブディには答えようがありません。
アブディは、「カナダの殺し屋を雇えばいい」というハサンの提案も退けています。エースを殺す気などありませんでした。
しかしポップはアブディを疑い、「正直に言え」とエースの飼い犬ボビーをけしかけてきます。
アブディ…犬が苦手だったのね。
ボビーは吠え、アブディはビビり、ポップは…あら倒れてる。
どうしたわけか、ポップは気を失って床に転がっています。
アブディは拘束されて動けず、たとえ拘束具をはずせたとしても犬が無理…どうするんでしょうこれ。
気になるアブディの言葉
拘束されたアブディがポップに言います。
「あんたは偽善者」
「あんたの正体をナディアにバラす」
同時に
「軍隊で学んだように拷問すればいい」とも言っていて、ポップが元軍人であることも分かります。
ポップの脳裏に誰かを撃つ場面が甦ってもいます。