ビンス・デジャルダンの小屋とファイル
ヘンリーは、自分の失踪に関する古い新聞記事を洗いなおします。
少年の失踪、父親の転落事故と死亡、少年が帰宅しても解けない謎…そんな見出しの中にひとつ、ヘンリーの知らない名前がありました。
「デジャルダン容疑を否定」
ビンス・デジャルダンは、キャッスルレイク近くの森の中の家に暮らす男で、ナチスと噂されていた人物だと、ヘンリーは母親から聞きます。
妻は死産の際に死亡、以来ひとりで暮らしているというデジャルダンが自分の失踪と関係あるのか。
彼には逮捕歴があり、失踪の少し前に釈放されています。
母はそれ以上デジャルダンについて何も話しません。話したくない何かがあるのでしょう。
何も覚えていないヘンリーは、デジャルダンの家に行ってみることにしましたが、空き家なのか、廃屋同然です。
そこへ老いた男が現れます。
ジョゼフ・デジャルダンと名乗るその男は、ビンスの兄弟で、ビンスからこの家を相続したのだと言いますが、ビンスがここに住んでいたことはなく、住んでいるのはずっと前から自分だと説明します。
ビンスが逮捕されたのは保険金詐欺の容疑をかけられてのことだとも。
ジョゼフの話はどれも部分的で要領を得ませんが、ヘンリーはその家で気になるものをふたつ見ます。
ひとつは庭に設置された犬小屋のような建物です。
大げさな南京錠がかけられた小屋ですが、ドアを破って中を見ても何もありません。
ただアルマイトのような皿とスプーンが置いてあるだけ…。
もうひとつは、破棄されたと聞かされていたヘンリー失踪事件のファイルです。
「パット・ケリー」という人物が保管していたけれども、保管場所が水道管の破裂で水浸しになり、ジョゼフがここに移してとっておいたのだと言いますが…
父のメモ「ヘンリーがやった」
ビンスにはヘンリーの失踪中のアリバイがありません。
そしてビンスの家を捜査したのは他ならぬパングボーンで、鑑識もつれずに一人で家を訪れています。
デジャルダンが自分の失踪と父の死に関わっていて、パングボーンはそれを知りながら隠していた、とヘンリーにはそう思えてなりません。
しかし、パンクボーンはヘンリーに言います。
崖の下で救出された父親が瀕死の状態で「ヘンリーがやった」と銀行明細の裏に書き、その翌日に死んだのだと。
パングボーンは真相を握りつぶすため、捜査を続けるふりをしていたのだと。
失踪中の記憶のないヘンリーが、一番恐れていた言葉だったでしょう。
父を殺したのは自分だったのかもしれない。
打ちのめされたヘンリーは、ショーシャンク刑務所地下の青年のケースから降りることにします。
一刻も早くこの土地から離れたかったのでしょう。
もとより青年は刑務所の取引に応じれば30万ドルの和解金が手に入るのです。
ザフレスキの凶行
でも、刑務所の体制に我慢ならず、裁判で洗いざらいしゃべるつもりでいた看守のデニス・ザレフスキは、弁護士の心変わりでショーシャンクのあやまちがうやむやにされるのに納得が行きません。
ザレフスキは、しばらく監視室のモニターを眺めていたと思うと、やおら銃を取りだし、廊下で会う看守に次々発砲しはじめました。
何人撃ったでしょう。
ショーシャンク刑務所の新たな惨劇は、駆け付けた警官がザレフスキを射殺するまで続きました。