町へ放り出される謎の青年
ザレフスキが複数の同僚看守を銃で斬殺した事件は大きなニュースになり、地下牢の青年のことも刑務所の管理会社ノースイースト社の知るところとなりました。
新所長は、きつい叱責を受け、「青年のことはどうにでもしろ。会社は関知しない」と言い渡されます。
結局青年は、無一文で刑務所から出されることになります。
青年を迎えに来たのはヘンリーでした。
しかしこの青年をどうしたものか。
今だ自分の名前も思い出せない青年でしたが、病院の検査では脳に異常は発見されず、一種の健忘症なので「家に帰ったらすぐに思い出すかもしれない」との診断です。
どこかへ入院させるほかありませんが、その日に入れる病院が見つからず、「週明けまでオフィスで寝起きすればいい」というモリーの厚意に甘えることになります。
深夜、青年はモリーの会社を抜け出し、楽しげな歌に引き寄せられるように一軒の民家に侵入しました。
子供の誕生日を祝う家族が見えます。
でもなぜでしょう。
青年が眺めていると、急に父親が怒り出し、和やかだったバースディパーティが泣き声と怒鳴り声のおぞましい雰囲気に変わってしまいます。
屋根の上にポツンと座って何かを考えている青年に邪気はありません。ただ悲しそうな顔に見えます。
翌朝、オフィスにジャッキー・トランスがやって来ます。
このブロンド女性は、モリーとどんな関係なのか今一つはっきりしません。
不動産事業のスタッフにも見えますが、仕事をしているふうはありません。
友人?友人と言うより、ヘルパーのような立場に見えますが…。
何も知らないジャッキーは、青年を怖がらず、車に乗せて出かけます。
彼女が語るのは、昔のキャッスルロックのことです。
以前のキャッスルロックには刺激的な事件がたくさんあったと聞くのに今は退屈だと話すジャッキーは、「叔父さんがスキー旅行で突然発狂して家族を斧で殺そうとした」とも。
その叔父の名をもらってジャッキーと名乗っているけれども本当の名はダイアンだそうです。
スティーブン・キングの代表作「シャイニング」の、あの父親の姪ということのようです。
青年の姿が見えなくなり、慌てているのはモリーです。
探し回った末、ビルの屋上に立っている青年を発見しました。
「穴から出たのが間違いだった」という青年にモリーは、「あなたは普通の青年だ」と言い聞かせ、ビルを降りさせます。
刑務所を出てから彼はとても辛そうにしています。
パングボーン橋命名式
保安官として長年キャッスルロックに尽くしたパングボーンの名を冠した橋が完成しました。
今日はその命名式で、ヘンリーの母ルースもキレイな服に着替えて参加しています。
あまり得意でないスピーチに挑むパングボーンが集まった人々を見渡すと、さきほどまでそこに座っていたルースが橋の欄干に立っています。
止める間もありませんでした。
ルースは川へ。
すぐさまヘンリーが飛び込んで助け、命は助かりますが、目覚めたルースは「この町は死者が甦る」と泣いています。
ルースが何を見たのか分かりません。
パングボーンとルース
この日、病院のベンチでパングボーンはヘンリーにルースとの関係について初めて打ち明けます。
パングボーンが母にプロポーズしたのは91年。
父が死んだ年です。
でもルースは「幸せになる資格はない」とそれを断り、パングボーンはこの町を離れます。
数年後にキャッスルロックへ戻り、ひとりで暮らすルースを助けるうちに夫婦同然の関係になったそうです。
ピアノを弾く青年
ヘンリーは、青年を古い離れに案内します。
そこは昔父親が使っていた家で、家具も揃っています。
「困ったことがあれば母屋へ来い」と伝え、立ち去ろうとすると、青年は部屋にあったピアノを弾き始めます。
「ピアノを弾けるのか」と驚くヘンリーに青年は「覚えてた」とだけ。
普通の家庭で育てられていた時期があったのでしょう。
パングボーンと青年森で遭遇
パングボーンは夜の橋で、自分の名を刻んだプレートを取り外して川へ捨てました。
ルースに危険を招いた橋の名が許せないようです。
その時ポケットのスマホが鳴ります。
家の裏口で異変があったことを知らせる通知でした。
ヘンリーが用心のために遠隔で家の状況の分かる装置を取り付けていたのです。
画面には裏口近くを歩く青年が映っています。
じっと目を凝らして青年を凝視するパングボーンは、刑務所地下から出てきたばかりの青年に見覚えが?
その夜。
月明りの森でパングボーンは青年と対峙します。
青年がここへ来ると確信していたようです。
青年とパングボーンの再会
パングボーンは「俺に見覚えがあるだろう」「お前の顔は忘れない」と言い、27年前の話をはじめます。
雪の夜道で保安官パングボーンの止めた車を運転していたのは当時のショーシャンク刑務所所長レイシーでした。
レイシーが「トランクに悪魔を乗せている」と言うので、パングボーンはトランクを開けて確かめます。
そこにいたのがこの青年でした。
呪われた町キャッスルロックの出来事です。
「信じろ」と言われ、黙ってレイシーを行かせたのでした。
それでもパングボーンは悩みます。
あれは本当に悪魔だったのか。レイシーはモンスターで、彼が人をさらうのを黙認したのではないか。
けれど今パングボーンは、はっきりと知りました。
この男は人間ではない。
青年は27年前とまったく変わっていなかったのです。
パングボーンに銃を向けられた青年は意外なことを言います。
「ルースを救える」
「何が起きてるか知らないだろう」