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鬼平犯科帳スペシャル「山吹屋お勝」登場人物キャストとあらすじ

2019年3月16日

鬼平犯科帳」は池波正太郎の同名小説を原作にした時代劇シリーズです。

何度も連続ドラマになっていますが、2001年にレギュラー放送を終えてから14本の2時間スペシャル版が制作されています。

「山吹屋お勝」

鬼平犯科帳スペシャル「山吹屋お勝」は2005年制作のドラマです。

池波正太郎の「鬼平犯科帳」文庫版では5巻に収載されている「山吹屋お勝」が原作です。

原作とドラマではちょっと話が違います。

中村吉之助版レギュラーシリーズの鬼平犯科帳でも「山吹屋お勝」はドラマ化されていますが、こちらも多少ストーリーが違います。

鬼平犯科帳「山吹屋お勝」ゲスト登場人物

主要キャストは、すべて中村吉右衛門版の出演陣が続投しています。

三沢仙右衛門(みさわ-せんえもん)

演:橋爪功

平蔵のいとこで巣鴨の大百姓

初蔵

演:金田明夫

仙右衛門の長男

お勝

演:床嶋佳子

平蔵のいとこが見初める茶屋女

王子権現参道にある仙右衛門いきつけの料理茶屋山吹屋で最近働き始めた

関宿の利八(せきやど-の-りはち)

演:吉田栄作

夜兎の角右衛門ようさぎのかくえもん一党のひとりきりの生き残り

角右衛門と一緒に死にかけたところを平蔵に助けられ、生還後密偵になる

鬼平犯科帳「山吹屋お勝」あらすじネタバレなし

鬼か菩薩か山吹屋のお勝

平蔵のいとこ三沢仙右衛門せんえもんが長男初蔵といっしょに役宅へやって来ました。

でもどこか様子が変です。

大げさなまでに憮然としている仙右衛門とは対照的に、初蔵は「聞いて下され長谷川様」と平蔵にすがりつかんばかり。

相談事というのは、仙右衛門の再婚でした。

仙右衛門は王子権現ごんげん前のいきつけの茶屋「山吹屋」のお勝という女にすっかり惚れこんでしまって、三日と開けずに王子へ通い、とうとう嫁にもらうと言い出したのだそうです。

仙右衛門によると相手のお勝も無論承知とのこと。

「三沢家の隠居ともあろう者が二十も若い茶屋女を」と初蔵は猛反対していますが、仙右衛門は、「たとえ茶屋女でも私にとってお勝は天女。お前が許さないと言うなら家を出てお勝と二人で暮らす」とまで言い出す熱の上げようです。

平蔵は「お勝が鬼か菩薩か見定めてやろう」と約束しました。

横で聞いている久栄ひさえは、笑いをこらえるのに必死です。

王子権現は現在の王子神社。東京十社のひとつです。

素人離れしたお勝の護身

山吹屋の座敷に上がって酒を飲む平蔵を外で待つ忠吾に、お勝が茶菓子を運んできました。

気働きが良く柔和な雰囲気のお勝を忠吾はすぐに気に入り「お勝さんは天女です」と断言。

でも平蔵には少し気になることがあります。

遊び人のふりをする平蔵が「よその卓へ行かずにここにいろ」とお勝の手をつかんだ時の所作です。

普通の女ならそんな時、手を自分の方へ引いて逃げようとするのにお勝は、手首をひねってするりと抜いてしまったと言うのです。

一種の護身術ですが、茶屋の女にしてはあまりに手慣れていると、平蔵の勘は「お勝にはなにかある」と警鐘を鳴らしたのでした。

となると、お勝の件はもう仙右衛門の恋路どころではありません。

平蔵は、五郎蔵にそれを話し、五郎蔵は、関宿せきやど利八りはちにお勝を調べさせることにしました。

利八を知るお勝

利八が、仙右衛門の甥のふりをしてお勝を見に山吹屋へ来ました。

奥の座敷へ酒を運んできたお勝は、利八の顔を見るなり膳を取り落とし「関宿の利八さんじゃ」

利八は素早くお勝の肩をつかむと口を手で押さえ「誰だてめえ」とすごみますが、お勝は少しも怖がっていません。

「あんた生きていたんだね」そう言って涙するお勝。

その日、お勝も利八も姿を消しました。

鬼平犯科帳「山吹屋お勝」あらすじネタバレ版

以下はネタバレです。

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五郎蔵の利八への思い

あれほど平蔵に恩義を感じていた利八が、何も言わずに消えたのはなぜか。

あまり良い想像はできません。

「必ず探し出します」と言う五郎蔵を平蔵は、この一件からはずしました

五郎蔵の利八への強い思いが邪魔だというのがその理由でした。

五郎蔵の消沈ぶりは痛々しいほどで、粂八くめはちは「あんたの代わりに利八を探す」と言います。

すると五郎蔵はふいに身をひるがえして膝をつき、粂八とおまさに「利八を頼む」と頭を下げるのでした。

お勝は仙右衛門宅の引き込み役?

山吹屋の前で粂八が見張っていると、荒川の久松がやって来て、女給になにかを聞くと血相を変えて帰って行きました。

お勝に会いに来たのでしょう。でもいないと聞いて慌てて帰っていった…つまりお勝は、それまでは仲間だった久松に黙って消えたのでしょう。

お勝が引き込みだったとすれば、狙いは山吹屋などではなく、嫁にいくはずだった三沢仙右衛門の家

「まさか」とおまさが反論します。

長谷川平蔵の親類の家を狙う盗賊などいるはずがないと。

でも粂八の考えは違いました、

久松は、平蔵に強い恨みを持つなごの七郎の手下なのです。

事実七郎は、平蔵を消すために刺客を放ってもいます。

利八とお勝

姿を消した利八とお勝は、あばら家同然の家に隠れ住んでいます。

利八は、お勝を「おしの」と呼んでいます。

利八は夜兎ようさぎ角右衛門かくえもんの配下おしのは霧の七郎配下の盗賊でした。

七年前、両盗賊が一緒におつとめしたことがあり、その時に出会って恋仲になったのです。

両派はその後仲たがいしますが、利八とおしのの間は変わらずに続いていました。

しかし霧の七郎が夜兎の角右衛門を焼き殺す事件が起きます。

角右衛門を助けようと炎の中へ飛び込んで行った利八を焼死寸前で助けたのが平蔵で、これが利八が平蔵を「命の恩人」と呼ぶ理由です。

おしのは、利八が焼け死んだものと思い、生きる気力もないまま七郎の指図に従って引き込みの仕事を続けていました。

今のふたりは、火付盗賊改めの密偵と盗賊の引き込み。江戸を離れるよりほか生きる道はありません。

利八は偽の通行手形を作るなまず堂と話をつけています。

費用は平蔵から預かった工作資金を充てればなんとかなるでしょう。

なまず堂

なまず堂のおやじが殺されました。

久松らに利八のことを聞かれ、口を割らないので殺されたのです。

偽札の代金を持ってなまず堂を訪れた利八もつかまり、霧の七郎のもとへ。

七郎の知りたいのはおしのの居所です。

でも利八にとって七郎は、角右衛門をだまし討ちにした仇敵です。

おしのを連れてくれば命は助けてやると言われて信じるはずがありません。

足取りの途絶えた利八が、霧の七郎のところへ連れて行かれたに違いないと考える伊三次と粂八、おまさは、おしのの隠れ家へ行って七郎の潜伏場所を聞き出そうとしますが、おしのは頑として「知らない」と言い張り、取りつく島もありません。

密偵たちはあきらめ、一旦退去しますが、おしのが自分で始末をつける気でいるのは明白です。

暗くなって一人で家を出て行くおしのを追い、油屋へ入って行くのを見定めた粂八は平蔵のもとへと走りました。

雪が降っています。

七郎のところへ乗り込んだおしのは、女ひとりでどうしようというのでしょう。

悲劇

七郎の前へ進み出て「利八さんはどこにいる」と迫るおしのは、隙を見て七郎の首元にかんざしの柄を当てました。

「生きてここを出ようとなど思っていない。それでも死ぬ前に必ずひとりは殺す」と言うおしのの覚悟におされ、七郎は手下に利八の縄を解くよう言い付けました。

利八は拷問でボロ雑巾のよう。

それでもおしのから渡されたドスを手に七郎の手下たちに向かって行きます。

はじめから勝ち目などありません。満身創痍で多勢に無勢。もはや絶体絶命です。

でも平蔵と与力同心らが駆け付けると盗賊たちは歯が立たず、次々に斬られていきます。

間に合いました。

なのに…

利八を抱きかかえたおしのを見つけた久松が、執念のままに突進してきます。

おしのの前に立ち、その刃を受ける利八。

体を貫かれたまま利八は、久松に斬りつけます。

久松が倒れると手下の男数人が殺到し、利八は四方から刺されて崩れ落ちました。

駆け寄る五郎蔵は、虫の息の利八の襟首をひっつかんで強くゆすると顔をひっぱたいています。

身も世もなく泣き叫ぶばかりのおしのは、いつかの客が平蔵だったと知ると気が遠くなったようにへたりこんでしまいました。

その後

五鉄の二階では、粂八が五郎蔵に手をついて詫びています。

あれほど頼まれていた利八を死なせてしまったことが申し訳なくてならないのです。

でも、五郎蔵には利八の気持ちが分かっています。「あいつはあれでよかったんだ」と言う五郎蔵に伊三次も頷きます。

悲嘆に満ちたあの雪の夜、利八だけは幸せだったのです。

おまさは、おしののことが気になっています。

ああして男に死なれ、残ったおしのはどうすればいいのでしょう。

牢にいるおしのは、すっかり落ち着いて死罪のお達しを待つばかりといった風情です。

平蔵が牢へやって来て「利八の意思を継ぐ気はないか」と話し、「考えてみてくれ」と言い置いて立ち去りました。

しばらくうつむいて座ったままだったおしのでしたが、まだ涙に濡れる目をしっかりと開くと、はっきりした声で牢番を呼びました。

おしのが平蔵の密偵になるのは、桜が咲くころでしょう。

役宅では仙右衛門が「早くお勝との結婚を認めてくれ」と言いたてています。

平蔵がこともなげに「お勝は若い男と逃げたそうだ」と言うと、覚束ない足取りで王子へ確かめに行く仙右衛門。立ち直りには時間がかかりそうです。

ああ。霧の七郎が雇っていた刺客は、平蔵が一振りで片づけました。

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