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鬼平犯科帳スペシャル「見張りの糸」登場人物キャストとあらすじ

2019年3月17日

鬼平犯科帳」は池波正太郎の同名小説を原作にした時代劇シリーズです。

鬼平犯科帳スペシャル

これまでTVシリーズは、1969年と71年の八代目松本幸四郎版、75年の丹波哲郎版、80年の萬家錦之助版、89年の中村吉右衛門版とあり、中村吉右衛門版は、2001年にレギュラー放送を終了後、2時間枠のスペシャル版が14本公開されています。

見張りの糸

鬼平犯科帳スペシャル見張りの糸」は2013年制作のドラマです。

レギュラーメンバーは中村吉右衛門版のキャストがそのまま継続しています。

池波正太郎の原作文庫版では16巻に収載されているエピソードです。

鬼平犯科帳「見張りの糸」ゲスト登場人物

稲荷の金太郎

演:渡辺いっけい

粂八の昔の盗賊仲間。今も泥棒稼業から足を洗えていない。

油揚げが好物なので「いなりの金太郎」と呼ばれている。

おそのと峰吉

おその:佐藤友紀 峰吉:不明

金太郎が時々訪ねて多少の金品を与えているらしい未亡人とその息子。

峰吉は6歳くらいか。もう字の書ける歳。

清吉

おそのの死んだ夫

蝋燭問屋の手代だったが、豊蔵ら盗賊の押し込み皆殺し事件で死亡している。

和泉屋忠兵衛

演:中村嘉葎雄

火付け盗賊改めのメンバーが盗人宿を見張るために二階の部屋を借りる仏具屋の爺さん。

関西の仏具商だったが、江戸の孫娘夫婦に店を買い与えて一緒に暮らすようになった。

太助

演:本田博太郎

忠兵衛の仏具屋の番頭。

忠兵衛と一緒に上京した。

お弓

演:柊瑠美

忠兵衛の孫娘

戸田銀次郎

演:隆大介

忠兵衛の昔の部下

忠兵衛を恨んでいる。

大沢

演:大村波彦

戸田が仕事を持ち掛ける友人

貉の豊蔵

演:木下ほうか

金太郎の属する盗賊の二代目の頭。

先代は盗人三箇条を守る人物だったが二代目豊蔵は畜生働きに堕ちた。

鬼平犯科帳「見張りの糸」あらすじネタバレなし版


ネタバレしない範囲でのあらすじです。

粂八の昔なじみ いなりの金太郎

粂八くめはちは盗賊時代の仲間金太郎と偶然再会します。

「この間はうなぎをおごってもらった」と言う金太郎は、粂八に甘酒でお返ししながら、今度のおつとめ(盗み)を一緒にやらないかと持ち掛けました。

金太郎はむじなというかしらの率いる盗賊団に属しているのですが、先代が死に、息子の豊蔵が跡目を継いでからは組織のまとまりを欠き、人手が足りないようです。

粂八は、こっそり金太郎のあとをつけ、田町の茶店大黒屋へ入ったまま朝まで出てこないのを確かめると、盗みの計画が動いていることを平蔵に報告しました。

金太郎を泳がせ、盗賊を一網打尽に仕留めようという平蔵の策に気乗りのしない粂八でしたが、お役目です。

金太郎と未亡人おその

金太郎は、ある長屋を訪ねます。

通りで遊ぶ峰吉という少年は、金太郎を見つけると駆け寄って来ました。

峰吉が自分で書いたらしい習字紙を持っているのに気付くと金太郎は「うめえもんだな」と褒めますが、紙が逆さまです。

峰吉の家では母親のおそのが針仕事をしています。

「わずかばかりですが」と金太郎が差し出す金を、おそのは遠慮して受け取ろうとしません。

金太郎は、「亡くなった清吉さんには大きな借りがあるので」と、半ば強引にその金を押し付けています。

粂八にうなぎをご馳走になったのを律義に覚えていた金太郎です。

ですが、金太郎はおそのに清吉への借りが何なのか話していないようです。

密偵たちは五鉄で打ち合わせ

夜。

軍鶏しゃも鍋屋五鉄ごてつでは粂八に伊三次いさじそれにおまさが、五郎蔵ごろぞうを交えて密偵会議をしています。

清吉が盗賊に殺されていたことが分かったのです。

二年前。ろうそく問屋伊勢屋は、豊蔵らに押し込まれ、家族、奉公人16人が皆殺しにあいました。手代てだいとして伊勢屋に勤めていた清吉もそこで殺されたのでした。

金太郎が清吉を殺し、その償いに残った母子に尽くしているのでしょうか。

粂八は、信じたくないふうですが…。

長谷川平蔵の怒り

一方平蔵は、伊勢屋の事件の残忍さに改めて怒りを燃やし、二度と貉一味に押し込みをさせてはならぬと決意を新たにします。

盗賊には盗賊の掟があり、「犯さず」「殺さず」が鉄則であるはずが、その秩序を失くした貉の乱行には、おまさも思うところがあるようです。

金太郎は見張りの糸。決してたぐりそこねてはならぬ」と、おまさに言い聞かせる平蔵でした。

見張り場所和泉屋の忠兵衛

火盗改めの同心たちは、金太郎が入って行った茶店大黒屋の向かいの和泉いずみという仏具屋の二階を借りて終日大黒屋を見張ることになりました。

和泉屋の主は忠兵衛ちゅうべえという爺さんで、孫娘夫婦と番頭の太助たすけの4人がそこに暮らしています。

二階に詰める同心は、松村、三井、小林、木村。

ふと窓の外を見ると、忠兵衛爺が、大黒屋で茶を飲んでいます。

「見張っている相手の店に寄るとは何事だ」と小林は、忠兵衛に苦言しますが、忠兵衛は、「八幡さんへお参りした帰りは大黒屋に寄る習慣だから怪しまれないよういつも通りにしたのだ」と説明します。

ただの町人とも思えないその腹の座りように何か不審なものを感じる平蔵でした。

大川屋-鬼平だんご
両国大川屋さんの鬼平だんご 口の中で溶ける!

和泉屋床下の秘密

和泉屋に数珠じゅずを卸に来た職人は、奥の部屋へ招き入れられると途端に声を潜め「そろそろ分け前を…」と切り出します。

忠兵衛と太助は、「今は二階に盗賊改めがいるので無理だ」と答えています。

一千五百両の金が床下に隠してあるようです。

鬼平犯科帳スペシャル「見張りの糸」ネタバレ

この下は完全にネタバレしています。

鬼平犯科帳は、大多数の人がストーリーを知ったうえで見ているものと思います。

先にネタバレを読んでしまっても、ドラマを見る楽しみはそれほど損なわれない作品であろうとは思いますが、ネタバレ読みたくない人はここまでに。

ネタバレを読む場合は↓をタップしてください

ネタバレを読む

笠をかぶった怪しげな男が、物陰から和泉屋の忠兵衛を見ています。

男は、名を戸田といい、かつて忠兵衛の下で働いていた盗っ人でした。

上方の大盗賊だった忠兵衛は、足を洗って江戸へ移り、ほとぼりを冷ましていたのです。

戸田は、忠兵衛が盗賊時代に築いた財産を家のどこかに隠しているに違いないと睨み、知人の大沢を押し込みに誘います。

戸田は、お勤めのさなかに狼藉を働いたのを咎められ、忠兵衛に捨てられた恨みを今も忘れていません。

ちょうど大沢は、貉の豊蔵の仕事を手伝う約束をしたところでしたが、和泉屋のほうが旨味があると説得されてこの話に乗りました。

忠兵衛の諜報

和泉屋では忠兵衛が太助に「上にいる盗賊改めが追っているのは貉の豊蔵だ」と話しています。

夜中に屋根に登り、同心たちの話を盗み聞きしたのだそうです。

爺さん…

粂八、貉に捉えられる

大黒屋に籠ったままの金太郎を権六ごんろくという男が訪ねてきます。

豊蔵との連絡が途絶えている金太郎を引きずり出しに来たのです。

隠れ家で金太郎を迎えた豊蔵は、「助っ人は用意したからもう決行する」と言いますが、金太郎は、反対します。

たちの悪い助っ人を呼べばまた人殺しが起きると言うのです。

でも豊蔵は、「殺さず、犯さず、貧しきからは盗らず」の盗みの三箇条になど興味もありません。

隠れ家の外では粂八が戸田と大沢に見つかってしまいました。

粂八は、金太郎をつけて来ていたのです。

豊蔵の仕事を断りに来た戸田と大沢は、粂八を豊蔵に差し出し、これで前金を返す義理もないと言い捨てて立ち去ります。

身動きのとれぬ平蔵

粂八も金太郎も行方が分からなくなり、平蔵と密偵たちは頭を抱えます。

ふたりとも豊蔵に捉えられたことは容易に想像がつきますが、隠れ家の場所が分かりません。

金太郎を連れ出した権六なら居場所を知っているはずですが、権六を捕まえれば貉一味が雲隠れするのが目に見えているだけでなく、粂八はきっと殺されるでしょう。

金太郎の告白

縛り上げられた粂八は、見張りについた金太郎に「豊蔵との縁を切れ」と説得しますが、盗賊としてしか生きる道のない金太郎は、さっぱりしません。

粂八は、金太郎に「清吉を殺したのか」と思い切って尋ねました。

金太郎は告白します。

盗みに続いて殺戮の起きたろうそく問屋で、倒れていた清吉が刃物を拾い上げるのを見て慌てた金太郎は、つい信条を破り、清吉を斬ってしまったのでした。

粂八は、五郎蔵に後のことを相談するよう強く勧めます

粂八を刺す金太郎

そこへ戻って来た豊蔵が、「粂八を殺せ」と金太郎に命じます。

金太郎の忠誠心を試しているようです。

「やらなければお前も殺される」と言う粂八。

金太郎は、粂八に抱きつくように脇腹を刺しました。

粂八は、土手を転げ落ちたまま動きません。

医者を呼ぶ謎の男

刺されて気を失った粂八を、駆け付けた医者が手当てしています。

誰かが医者を呼んだのでした。

傷は急所を外れていて、粂八は一命を取り留めます。

金太郎がわざと急所を外したのだと粂八はそう信じます。

それにしても誰が医者を呼んでくれたのでしょう。

その男は、手当てしている間にどこかへ消えてしまったというのです。

平蔵の語る医者から聞いたその男の人相は、和泉屋の番頭太助にそっくり

もう平蔵には完全にバレてます。

でも平蔵は忠兵衛と太助のことを誰にも話していません。

金太郎死す

金太郎が刺されました。

金太郎を疑っていた豊蔵が、どこかへ急ぐ金太郎を見て、生かしてはおけないと襲い掛かったのです。

引き続き金太郎の様子を伺っていた太助が刺された金太郎に駆け寄りますが、傷は深く、金太郎は死んでしまいます。

太助に「表伝馬町おもててんまちょう丸屋が危ねぇと五郎蔵さんに伝えてくれ」と言い残して。

丸屋は、豊蔵たちが押し込もうとしている乾物問屋です。

人生をやり直す決意を固め、五郎蔵にすべてを話しに行く途中だったのでしょう。

平蔵に救われなければ同じ運命をたどったに違いない五郎蔵とおまさは、しんみりとその悲報を聞くのでした。

忠兵衛の策

困ったのは忠兵衛と太助です。

丸屋が豊蔵らに押し入られることは明らかで、また皆殺しに発展するでしょう。

丸屋への押し込みを阻止したいのは山々なのですが、それを二階の盗賊改めに話せば、きっと怪しまれます。

そこで忠兵衛は一計を講じ、ふみを書きます。

おもててんまちょう まるや むじなにごようじん きんたろう

それを数珠職人に持たせ、匿名で平蔵の役宅に届けさせたのでした。

平蔵寝込む

貉の豊蔵が丸屋へ押し込むというその日、平蔵は風邪で寝込んでいます。

ふたつの押し込み

その夜、ふたつの押し込みが決行されます。

貉一味の丸屋への押し込みは、盗賊改めによっていとも簡単に食い止められ、豊蔵は酒井に斬られました。

同じころ、和泉屋忠兵衛方へ戸田と大沢たちがやって来ます。

ところがそこへ平蔵が現れ、戸田も大沢も一撃に仕留めてしまいました。

忠兵衛がどうもおかしいと感じていた平蔵は、独自に和泉屋周辺を探り、戸田たちが今夜和泉屋を襲うのを察知していたのでした。

「このことは町方に届けよ」「死体はそのままにして、賊がもめて同士討ちしたとでも言っておけ」と指図する平蔵の意図が忠兵衛には分かりません。

「風邪で寝込んでいたのに夜中に抜け出して捕り物をしたとバレては女房どのに怒られるので、私がここへ来たことは内緒なのだ」と話す平蔵を唖然として見送る忠兵衛の横で太助は、笑いをこらえるのに必死です。

忠兵衛痛恨の失策

翌日、言いつけ通りに役宅を訪れた忠兵衛に平蔵は例の文を見せます。

「お前が書いたのだろう」

忠兵衛はとぼけますが、しらを切るのは無理です。

金太郎は字が書けなかったのです。

あきらめ、お縄を頂戴しようとする忠兵衛でしたが、今は無害でむしろ善良な爺さんです。

平蔵には、はじめから忠兵衛を捕まえるつもりなどありません

お目こぼししてもらえると知った忠兵衛は、大喜びです。

平蔵が「床下にある金は洗いざらい差し出せ」と言うまでは。

それぞれの顛末

分け前を受け取った粂八は、その金で金太郎の供養をすると言い、密偵らは分け前の一部をおそのに分けてやることにしました。

粂八は、密偵一同から集めた小判を「金太郎から預かった金だ」と言っておそのに届け、「金太郎は旅に出てしばらく戻れない」と話します。

忠兵衛は、太助を連れて歩いています。

江戸を引き払い上方へ戻るのだそうです。

ふたりは文無しですが、これまでと変わらず幸せそうです。

 

「見張りの糸」は、盗賊改めが貉の豊蔵一味を捕まえる話を中心に進みますが、それだけでなく、悪人には見えない金太郎が清吉を殺したのか、金太郎は足を洗えるのかを追う物語でもあり、そこに和泉屋の忠兵衛と太助が意外な形で関わってくる構造がとても面白いです。

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鬼平犯科帳には、小説、ドラマの他にアニメやオーディオブックもあります。

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