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「ホームカミング」のあらすじ感想など-記憶という厄介な財産

2019年2月28日

ジュリア・ロバーツがプロヂュースと主演をつとめるAmazonドラマ「ホームカミング

シーズン1は全10話。アマゾンプライムで見られます。

あらすじと感想などを。

登場人物についてはこちらに

ホームカミングのあらすじ-ネタバレなし

ハイディの働く「ホームカミング」は、アメリカの帰還兵PTSDをケアするための施設です。

ハイディは、カウンセラーとして入所者と1対1で話し、戦場体験が蝕む彼らの癒しの道を探る…はずですが、何となく変

ハイディの上司コリンは、頻繁に電話をよこし、あれこれ指図しますが、ホームカミングに来ることはなく、話はいつも一方的です。

コリンは、しきりに「早く正確なデータをまとめろ」と指示しています。

帰還兵のホームカミング入所後の経過を国防総省でプレゼンする予定だと言っていますが、口ぶりから、欲しいデータは、短期間で目覚ましい効果があったという報告だけなのだと分かります。

入所者との信頼関係を築きながら心理状態の好転を待ちたいハイディとは意見が合いません。

入所してしばらく経つレイニーは、ある日、「ここは軍がフロリダに見せかけて作った場所でフロリダではない」と言い出します。

自由な外出もままならないこの施設はおかしい、自分たちは監禁されているのだ」言って聞かないレイニーを納得させるため、ウォルターは、ふたりで外へ飲みに行こうとします。

施設のエントランスに座る受付の女性は、「それなら外出届を出してもらう必要がある」と言って奥へ消えてしまいました。

その様子を見てますます疑惑を深めたレイニーは、ビルを抜け出し、駐車場の車に飛び乗りました。

レイニーを一人で行かせるわけにもいかず、ウォルターも同乗します。

その無断外出は、レイニーひとりが強制退所処分を受ける結果に終わりました。

コリンはふたりを退所させる意向だったのですが、ハイディが、「ウォルターは捨てがたい人材だ」と主張し、彼だけはホームカミングに残ることになったのでした。

ストレス障害に悩む入所者を施設の外へ出さないホームカミングの方針は、理解しがたいものです。

そしてハイディがコリンに言った「ウォルターを外すなんてもったいない」という言葉の意味は?

コリンが集めているのは、本当にセラピーやトレーニングの成果のデータでしょうか。

先日コリンは、ハイディに、「厨房スタッフ全員の経歴を調査しろ」とも指示しています。

ホームカミングに隠された目的があるのは明白です。

ハイディがキャリアを捨ててウェイトレスをしているのは、ホームカミングで起きた何かと関係しているのでしょうか。

4年後、国防総省の監査人カラスコがハイディを探し当て、「ホームカミングについて苦情が上がっているので話を聞かせて欲しい」と言います。

ホームカミングAmazonプライム

ホームカミングはアマゾンプライム動画で見られます。

ホームカミングの感想など-ネタバレあり

記憶を消したいと思ったことはあります。

忘れられる薬」が実際にできたら、欲しいと思う人は大勢いると思います。

ホームカミングを運営するガイスト社が作った薬は、ある程度そのニーズに応えるものです。

ガイスト社の薬の二つの問題点

被験者に知らせずに薬剤を投与している

これは大問題ですね。

実際の治験は、全世界共通のガイドラインに基づいて行われています。

治験薬が被験者に黙って投与されることは、絶対にありません。

厚生労働省が治験を許可した薬剤だけが、許可された条件を備えた人にだけ許可された量を投与され、被験者は、いつでもその治験をやめることができます。

このルールを逸脱して新薬を実験すれば、その会社は存続すらできないでしょう。

ホームカミングでは、薬の作用を隠していただけでなく、投薬の事実すら伝えず、食事に混ぜて服薬させていました。

ありえない所業です。

記憶を消すことの是非

ホームカミングで投薬されていたのは、記憶を消す薬でした。

数年程度の期間の記憶の大半を消してしまいます。

それが倫理に適うものなのかというのが第二の問題で、こちらは厄介です。

ドラマでは、帰還兵の迅速な戦場復帰という目的で使用されているために非人道的な新薬に見えますが、悲惨な体験によるPTSDをその原因から消してくれるのなら、よい薬にさえ思えます。

元々は、軍医利用ではなく、PTSD患者の心を救うために開発されたのではないかとも想像がつきます。

忘れていいこと、忘れたいこと、それでも忘れようのないことに心を支配され苦しむ人にとっては、究極の治療、神の薬なのでは?

それでも、やはり人為的に記憶を消すという行為を認めてはいけない気がします。

ある期間の記憶が無くなった時、その人はその時間を生きていなかったことになるようにも思います。

では、特定の事象に関する記憶だけを選択的に消せるようになればいいのかと言うと、それも釈然としません。

体験や記憶とは、その人の人生そのもので、言って見ればその人の性格を形作るものでしょう。

化学物質によって記憶を消すことは、化学物質によって人格を変えることにつながり、それは人のしていいことの範囲を超えているのでは?

でも…

私はフラッシュバックを起こすような惨状を見たことはなく、忘れたいことと言ってもせいぜい人間関係上のことくらいです。

PTSDの恐ろしさも知らない身で、記憶を消すことを批難していいとも思えません。

ウォルターの母親はハイディに「あなたがたは、あの子の時間を奪った」と責める一方で「せっかく昔のウォルターに戻ったのに思い出させたりしないでちょうだい」とも言います。

この矛盾がそのまま、問題の難しさを示しています。

ウォルターはハイディを覚えていたのか

偶然会ったハイディをまったく覚えていなかったウォルターでしたが、いつの間にかテーブルに並んだハイディのフォークを斜めに置き換えていました。

それはセラピールームでいつもウォルターがしていたことなので、本当はハイディを覚えていたともとれる行動です。

何通りにも解釈できます。

  • 思い出してはいない。あれは単なる癖
  • 思い出しているけれども、忘れたふりをしている、つまりもう関わりたくないのだと分かってほしい
  • 思い出していて、ハイディの自責の念にも気づき、「君のしたことを怒っていない。元気でいるから心配しないで」と言いたかった

あまりややこしいことをする人とは思えないウォルターですが、どういうことなのか、あれはちょっと判断が難しいです。分かりません。

シーズン2が作られるようなので、そちらではっきりするかもしれません。

ホームカミング最終話エンドロール後

あれは何でしょう?(笑)

気付かなくて、見ていない人も多いかも。

最終回第10話のエンドロールの後にコリンに解雇を言い渡した受付女性がもう一度出てきます。

見ていない人もいると思うので、具体的に何をするかは書かずにおきます。

ガイスト社でまた新しい薬を作っていて、彼女はコリンのことを記憶から削除するためにそれを使った?

ガイスト社の新薬はもっと積極的に人柄を変えるもので、彼女はそれを常用している?

…くらいしか思いつきませんが…

ロンが突然退職したのは、もしかすると、同じ薬の副作用でウォルター退所のときのように身体がきかなくなったからかも…?

なんとなく最後のガイスト社のエピソード全部が余計な気が…

 

ホームカミングはシーズン2が制作されました。

 

帰還兵のPTSDをテーマにした映画に「アメリカンスナイパー」があります。