ルースの世界
自分がパングボーンを死なせたと知ったルースは、放心状態で橋の欄干に立っています。
モリーが後ろから近づき説得しますが、ルースは「ここでこの会話を何度も交わした」と言って降りてこようとしません。
同じことを話しても同じところへしかたどり着けず、ルースの望むパングボーンの生きている世界には行けないと考えているようです。
青年から、別の世界のルースはパングボーンのもとへ逃げたのを聞いていたモリーは「町を出て行ったこともあったはず」と言います。
するとルースはさも意外という顔つきで「それは初めて言ったわね」
はじめての話をするなら、はじめての展開があり得ると思ったのでしょう。
ルースはモリーの車で家に帰ります。
なぜかルースの世話をするジャッキー
その夜、なぜかジャッキーがヘンリーの家に来てルースの面倒を見ます。
ルースはヘンリーが頼んだと思っているようですが、そういう場面はありませんでした。
ジャッキーは、ルースのベッドサイドに何かの飲み物を置いて行きます。
ルースはといえば、その飲み物を無視しようとしてから思い直してそれを飲んだように見えます。
寝る前の薬を飲んだとも考えられますが、以前にルースはヘンリーに「何年も薬は水なしで服用している」と言っています。(6話)
あの飲み物はなんだったのでしょう。
そしてルースはなぜこの時に限ってそれを飲んだのでしょう。
青年を助けたいモリーと出頭させたいヘンリー
モリーは、帰宅したヘンリーに青年の語った並行世界のことを聞かせます。
ヘンリーがいた世界に帰るドアは森のどこかにあり、ドアを探せるのは「音」を聞ける者だけ。
青年にはその音は聞こえず、ドアが見つからない。聞こえるヘンリーの助けがどうしても必要なのだと説明するモリーでしたが、ヘンリーは、青年を出頭させると言って聞きません。
音を聞いたウェンデルと森のオーディンの遺体
ボストンへ帰らず途中でバスを降りていたウェンデルが警察に保護されました。
バスの中で何かの音を聞き、音のする方へ行きたくなって下車したと話すウェンデルは、森まで歩き、オーディンの遺体を回収捜査している警察に発見されたのでした。
遺体の近くにはウィリーがぼんやりと立っていました。
ウェンデルを引き取りに警察署へ行くと、ヘンリーが拘束されてしまいます。
ヘンリーがキャッスルロックへ戻って来て以来、彼の周辺で起きるのは血なまぐさいことばかり。
クライアントの青年の入った病院は火事になり、実家でパングボーンが死亡。不法侵入したホテルでは凄惨な事件が発生、オーディンのトレーラーにもヘンリーの指紋が…。
元々養父を殺したと疑われているヘンリーです。
その夜は解放されず留置所に泊まることに。
ポーターの死
その頃モリーはオフィスで意外な人物の訪問を受けています。
ショーシャンク刑務所の新所長ポーターです。
ポーターは、青年が刑務所を出た後ここに寝泊まりしていたと聞いてやって来たのでした。
ポーターの自宅にキャンドルを彫刻した人形があったから。
それはマシューが閉じ込めた黒人の少年ヘンリーと一緒に作ったと話していた人形ですが、息子のヘンリーとも同じものを作っていたのかもしれません。
以前にはモリーのオフィスにも同じ人形が置かれていました。
青年がポーターの自宅に侵入して人形を置いた?
なぜそうするのか分かりませんし、ポーターがなぜそれを青年のものと思ったのかもわかりません。厳密には青年がやったことかどうかも分かりません。
失踪時、発見されたヘンリーはこの人形をひそかに握っていました。
でもポーターはひどく怯え、「レイシーは正しかった。彼は悪魔」と言い、足元もおぼつかない様子で道を渡ろうとします。
ちょうどそこへショーシャンク刑務所の移送車が走って来て、ポーターはひかれてしまいます。
ショーシャンク刑務所は閉鎖が決まり、囚人は順次他の刑務所へ移送されているところです。
ヘンリーからモリーへの頼み
留置所に入れられるヘンリーはモリーを呼び、「ウェンデルをボストンへ連れて行ってくれ」とお願いします。
「暖かいところでやり直せ。キャッスルロックからも俺からも離れろ」とも。
ヘンリーに青年を助ける気がないのを確かめたモリーは、彼がハーモニーヒル墓地にいると教えます。
青年はそこでヘンリーを待っているのです。
青年の前に立つ墓標には「ディーヴァー家の子 天国に生まれる」と刻まれいます。
ディーバー家の子とは誰でしょう。
ルースは一度子供を授かっていますが、死産し、養子をとると決めたのだとヘンリーが話していましたが…。
ヘンリーが警察に彼の居場所を話し、青年は墓地で逮捕。ヘンリーと同じ留置所へ入れられます。
大挙するショーシャンクの囚人
ポーターをひいた車両はそこから動けず、移送中の囚人たちを警察署で一時預かることになりました。
ヘンリーと青年のいる向かいの房にショーシャンクの囚人たちが入って来ます。
ショーシャンク時代の終わりに一般房で暮らした時期があったため、囚人たちは青年を知っていて、「ニックケージ」とあだ名していました。
青年がいるのに気付くと囚人たちは一斉に彼をからかいはじめます。
何も言い返さない青年の目つきが険しくなるにつれて雲行きがかわります。
青年をからかっていたはずの囚人たちが突然仲間割れしはじめ、またたく間に殴り合いに発展。騒ぎを聞きつけて見に来た警官も殴られ拳銃を奪われます。
その後は乱射の応酬になり、警察署は血の海に。
警官の取り落した鍵で房を開け、青年はやすやすと脱獄しました。
階上では混乱に巻き込まれたウィリーが息も絶え絶えにヘンリーに訴えます。「森には行くな」
しかし青年はヘンリーに銃を突きつけ、強引に森へ同行させます。
森でヘンリーが思い出したこと
森に着いたヘンリーは、激しい耳鳴りに耐えながら思い出します。
あの日マシューは、「お母さんは保安官と浮気している」とヘンリーに話し、罪深い母が行けば神の声が聞こえるようになると言っていました。
「行く」とはどういう意味かと尋ねると、父は「罪の報酬は死だ」と答えたのです。
母が殺される。
そう悟ったヘンリーは、父から逃げて走り出しますが、崖に行き詰まってそれ以上進めません。
足元には雪が積もり、父は足跡をたよりに追ってくるでしょう。
ヘンリーは、今つけた自分の足跡をなぞりながら逆戻りして隠れ、崖っぷちに立つ父を背後から突き落としたのでした。
父を落とした少年ヘンリーは、今までにない耳鳴りに襲われます。きっとそのまま別の世界へ入ってしまったのでしょう。
27年後の今、ヘンリーは青年の銃口を背中に感じながら同じ道を歩いています。
音が高くなり、入り口はきっとすぐ近くです。
その時頭上にヘリコプターが近づき、青年が空を見ます。
ヘンリーは青年に飛び掛かり、銃を奪いました。
うずくまってヘンリーを見上げる青年の顔は、この世のものとも思えない化け物の顔。
ほんの刹那、でも間違いなく、青年は人ではない何かの顔をのぞかせました。
一年後のキャッスルロック
一年後。
ヘンリーは、クライアントらしい男に「メイン州の財産法は厳しいけれども奥の手がある」と話しています。
クリスマス休暇でしょう。ウェンデルが家にやって来ました。
父と息子は、パングボーンがルースに贈った駒でチェスを楽しんでいます。
向かいの家は空き家です。
モリーは、祖母のいる土地に越しました。ヤシの木が見える場所です。
ルースは、パングボーンと同じ墓地に眠っています。
ヘンリーはなぜこの忌まわしい町に残ったのでしょう。
もう母もいないのに。
ヘンリーがやって来たのは閉鎖されたショーシャンク刑務所です。
使われなくなった刑務所は警備する者もなく、簡単に出入りできます。
ヘンリーは慣れた様子で建物内部を進むと、床に切られたふたを開け、中のはしごを降りて行きます。
檻の前に食事を置いて立ち去るヘンリーの背後で
「いつか君は忘れる。鉄格子のどちら側にいるのか」と聞こえてきますが、ヘンリーは答えません。
「レイシーの最後を思い出せ」
と言われると、ほんの一瞬だけ立ち止まりますが、やはり何も言わず、はしごの上に消えました。