「ザ・テラー」S1第9話「大いなる海」ネタバレあらすじ感想とペグラーの詩などについて
「ザ・テラー」は、ダン・シモンズの小説「ザ・テラー 極北の恐怖」をドラマ化したものです。
10話で構成される「ザ・テラー」シーズン1第9話のあらすじを紹介します。
隊は割れ、事態が日ごとに悪化するなか、それぞれ自分の死に方を考え始めます。
Contents
「ザ・テラー」 エピソード9「大いなる海」のあらすじネタバレなし版
トゥンバック襲来の混乱に乗じて造反グループは隊を出ました。
しかしどちらの隊にも健康状態の良い者などなく、新鮮な食料もありません。
ヒッキーのキャンプではギブソンが橇を引けなくなりました。
壊血病の重くなったフィッツジェームズは倒れ、死に際に「みんなで私を食べてくれ」と言います。
エピソード9でよく見て欲しいポイント
- テントでの話し合いでのジョプソンの意見と顔つき
- 埋葬されるフィッツジェームズのブーツ
- イヌイットの長がレディ・サイレンスにする話の内容
ザ・テラー エピソード9「大いなる海」のあらすじと感想-ネタバレ版
フィッツジェームズの死
This scene between Fitzjames and Crozier was the final scene that was shot in
the entire series, on the very last day of production. #TheTerror pic.twitter.com/S6aHrkkGzP— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 15, 2018
トゥンバックが去ったキャンプでは誰が死に、誰が逃げたのか判明しはじめます。
グッドサーがいません。
ヒッキー一派が連れ去ったのでしょう。
人員の減ったフランシス隊は多くの備品をここに置いていくことになりますが、ヒッキーたちが盗みに来るかもしれません。
しかしフランシスは、「一つにまとめて置いておこう」と言います。
寛大な心で彼らを許し、戻りたければ受け入れる意思があると伝わることを祈って。
酒の抜けたフランシスは、本当によい隊長です。
それとも元々No2には不向きで、リーダーとしてこそ手腕の発揮されるタイプだったのでしょうか。
テラーには、人が状況や人間関係のバランスによって変化していく面白さがあります。
実在のフランシスについてはこちらに
1 フランシス・クロージャー|「ザ・テラー実在の登場人物と経歴データプロフィール
隊はまた橇を引いて進み始めますが、途中でフィッツジェームズが倒れます。
フィッツジェームズの壊血病は悪化していて、眼球のまわりを血が縁取るまでに。
もう長くないと知っているフィッツジェームズは、フランシスに「死んだら私を食ってくれ」と懇願します。
続けて「もう楽にしてくれ」と言うフィッツジェームスにフランシスが毒を飲ませ、フィッツジェームズは死にました。
遺体は毛布にくるんで土に埋められます。
見つかって荒らされないように。
残る資材はヒッキーたちに喜んで与えたフランシスでしたが、遺体はそうはいきません。
造反グループの狂気
The crew contemplates alternate – and horrifying – food sources in this exclusive sneak peek at the next episode of @TheTerrorAMChttps://t.co/mV9Kr8Q778
— Rotten Tomatoes (@RottenTomatoes) May 11, 2018
トゥンバックから逃げて隊とはぐれてしまったホジソンは、隊員たちが歩いているのを見て駆け寄りますが、それはヒッキーの反乱グループでした。
ホジソンに選択肢はなく、ヒッキーらと行動を共にすることになります。
ヒッキーと一緒にいるのは、絞首刑になりかかったトゥザー軍曹、男色行為の相手ギブソン他数名ですが、グッドサーに料理人のディグルもいます。
すぐにギブソンが体調を崩します。
グッドサーが「明日からソリは引けない」と診断するのを聞いたヒッキーは、ためらいなくギブソンを刺して殺しました。
ヒッキーが人肉食などなんとも思っていないのは想像がつきますが、自然死した遺体を食べるのと、まだ生きている人を食べるために殺すのとでは全然違います。
ヒッキーは、グッドサーにギブソンを解体するよう強要します。
「やらなければホジソンを切り刻む」と言うので、グッドサーは従うほかありません。
グッドサーは、ギブソンが亡くなったヤングの指輪を身に着けているのに気付きます。
「妹に渡して」と頼まれていたあの指輪。
ヒッキーが遺体から奪い、ギブソンを篭絡する賄賂に使ったものです。
思えばあの行為は、カニバリズムを暗示するものでした。
どうしてギブソンが持っているのか、グッドサーは分かったでしょうか。
フランシス本隊の苦悩
Will Crozier follow the motto of “no man left behind?” The journey on foot continues on a new episode of #TheTerror tonight at 9/8c. pic.twitter.com/KiBc6YJiJn
— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 14, 2018
病人を載せて進むソリ隊は、ペースが落ちています。
リトル副長は、「病人をここへ置いて進み、獲物が見つかったら戻りましょう」と提案します。
獲物がいないことは分かり切っていて、食糧を持って戻れる可能性など無いに等しい状況です。
フランシスは、「病人を置いていくならテントを置いていく」と、この提案を退けます。
リトルに反対していたジョプソンは「誰一人見捨てていくことはない」と話すフランシスをうやうやしく見つめて頷いていました。
ジョプソンの額にはわずかな出血が始まっています。
ブランキーの決断と笑い声
He has nothing to lose. #TheTerror pic.twitter.com/kMWfQtormm
— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 19, 2018
義足のブランキーは、なんとかついてきていますが、橇を引くことはできません。
トゥンバックが近くにいるとの情報を聞くと、自分が海岸沿いで囮になると申し出ます。
ブランキーがめくって見せた片脚は、義足との接続部位が壊死して黒ずみが腿の方まで広がっています。
もっと上から切断しなおすほかありませんが、麻酔なしでの切断手術をまたするのか。
術後の衛生も保てるはずがありません。
もうすぐ死ぬ運命ならば役に立って死にたいとブランキーはそう言っているのです。
ブランキーは、最後の一服のためのタバコの他にフォークとロープが欲しいと言います。
トゥンバックの食糧として、ロープを体に巻き付けておくそうで…
フランシスは泣きながら笑い、ブランキーも飛び跳ねながら笑っています。
私たちはこの笑い声を知っています。
第1話、まだエレバスとテラーが海の上を進んでいた頃、フランクリン卿が食事に来るのを嫌うフランシスの愚痴を聞いたブランキーは、同じように笑っていました。
第1話4分25秒あたりからどうぞ。→「ザ・テラー シーズン1」
世界で一番価値のあるものは「その人らしさ」です。
死の恐怖を突きつけられた時にも自分らしくいられたら、その人生は成功です。
ブランキーは、人生と言う魔物に勝ったのです。
ブランキー北西航路発見
習性でしょう。海岸に着いたブランキーは、望遠鏡で海の方を眺めます。
氷の海のずっと先に小さく陸地が見えます。
キングウィリアム島南西の海と思います。
そこを西へ進めば太平洋に出られるはずです。
これが、イギリスの悲願北西航路です。
ブランキーは北西航路の発見者になりました。
愛用らしい地図に書き込まれる「NOR’ WEST PASSEGE」(北西航路)の文字は、作品の中で数少ない歓喜の輝きを放っています。
トゥンバックとレディ・サイレンス
Will Lady Silence be able to restore balance? Find out on this week’s episode of #TheTerror On Demand or https://t.co/qRKPxVr5dV. pic.twitter.com/TJUjJYkaZh
— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 15, 2018
イヌイットの村では、レディ・サイレンスの他に別のシャーマンが招聘されることになりました。
しかしトゥンバックはまだサイレンスのものだとも話しています。
さりげなく差しはさまれたこの話には重大な意味があります。
ドラマの最後に分かります。
ブリジェンズの旅立ち
ペグラーも壊血病悪化で倒れ、もう望みはありません。
ブリジェンズはペグラーのノートを持ってテントを離れ、そこを死に場所にします。
実際に、ペグラーは旅をしながら詩を書いていたようです。
ペグラーと思われる骨のそばで詩の書かれた紙片が発見されています。
9話のサブタイトル「大いなる海」は、ペグラー本人の詩の一説なのです。
Papers found alongside a skeleton presumed to be Henry Peglar. They contained passages from which this episode is titled.
Courtesy of the National Maritime Museum, Greenwich, London. @RMGreenwich #TheTerror pic.twitter.com/hn6loyBjfQ
— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 15, 2018
物語の中でのペグラーとプリジェンズの関係を知りたい方はぜひ原作「ザ・テラー極北の恐怖」を(現実世界のふたりの話ではありません)
フランシス捉えられる
ヒッキーは、本隊にゴールディングをスパイとして潜入させていました。
ゴールディングが海の氷が割れていると偽りフランシスたちをおびき出すと、丘の上に造反グループのマグナスとボビーが現れ、こちらに銃を向けます。
造反グループの要求は、フランシスの身柄の引き渡しでした。
にらみ合いの中、フランシスに同行していたハートネルが撃たれます。
ハートネルは、ヒッキーと一緒にレディ・サイレンスを捕まえに行ったメンバーのひとりで、ムチを受けた隊員ですが、その後悔い改めたとヒッキーに話していました。
事態が困窮しても変わらずこちらにいたのです。
フランシスは、リトル副長に「必ず生き抜け」と言い、リトルの「生き抜きます」という声を聞くと、ヒッキーのもとへと向かいます。
補足情報
北西航路
実際の北西航路発見者となったのは、1951年にフランクリン隊の捜索に来たマクルアー隊です。
キングウィリアム島の東側を南下して島の南を西へ向かうルートが北西航路です。
北西航路についてはこちらに
チャールズ・ディケンズの協力
Author Charles Dickens was a close friend of Lady Jane. He was instrumental
in raising funds for rescue expeditions, and using his celebrity to downplay
eventual reports of cannibalism. #TheTerror pic.twitter.com/H6yglp4M6t— The Terror: Infamy (@TheTerrorAMC) May 15, 2018
イギリスで捜索要請の演説をするジェーンを紹介しているのはチャールズ・ディケンズです。
ディケンズはジェーンの友人でした。
講演の司会役まで引き受けていたかは不明ですが、ディケンズは、フランクリン遠征を扱ったウィルキー・コリンズの戯曲「凍れる海」(The Frozen Deep)の制作にも手を貸しています。
最終話のネタバレはこちらに
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