「イコライザー」静かに人の存在意義を問う作品と思ったらエンタメ映画だった
デンゼル・ワシントンの映画「イコライザー」
冒頭で「人生で最も大切な日は、生まれた日と生まれた理由を知る日である」というマーク・トウェインの言葉が出ます。
なにかこう、生まれた意味について煩悶するような映画で、地味に静かに進行する系かと思ったら、エンターテイメント映画でした。
爽快な気分になれる映画です。
監督:アントワーン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
Contents
イコライザーの登場人物とキャスト
主人公
ロバート・マッコール(ボブ)…主人公
演:デンゼル・ワシントン
熟年のホームセンター店員だが、切れ者の風情を隠し切れず、同僚は前職が何だったのか興味津々。
亡き妻の目標だった「読むべき100冊」読破を引き継いたボブは、毎夜食事に行くダイナーで本を読んでいる。
ロシア人娼婦
テリー…飲食店でボブと知り合う若い売春婦。本名はアリーナ
ロシアから渡米しシンガーを夢見ているものの、マフィアに売春させられている現状では先は見えている。
演:クロエ・モレッツ 映画の出演当時は17歳
マンディ…テリーの友人。テリーと同じマフィア管理下の娼婦
演:ヘイリー・ベネット
ロシアマフィア プーシキン財団
新興財団プーシキンの実態はマフィア。
ロシアから北米に進出し、アメリカ全土に勢力を拡大している。
売春させられている女の子たちは、プーシキンの手を借りて渡米したのかも。モスクワコネクションみたいな感じ?
スラヴィ…娼婦派遣業のおっさん
演:デヴィッド・ムニエ
アンドリ…精肉工場を仕切っている男
演:ヴィタリー・Shtabnoy (姓の発音不明です)
テヴィ・レンセン…ロシアマフィア、プーシキン財団のフィクサー。本名ニコライ・イチェンコ
演:アレックス・ヴィードフ
マスターズ…ボストン市警の警官。プーシキン財団の犬
演:ディヴィッド・ハーバー
ホームセンター「ホームマート」
ラルフィ…ホムセン警備員志望の太った店員。「警備員になりたければ痩せよ」とボブに指導されている。
母親は英語を話していない(何語か分かりませんでした。スペイン語?)ので、新しめの移民と思われる。
演:ジョニー・スコアーティス
CIA関係者
ブライアン・プラマー…元CIA。スーザンの夫
演…ビル・プルマン
スーザン・プラマー…CIAを引退した女性でボブの奥さん(故人)とも友人だった
演…メリッサ・レオ
ブリッジダイナー
ジェイク…ボブが毎晩食事している「BRIDGE DINER」の店主。
まるで存在感はありませんが、いずれ重要な役になるかもなので、登場人物として名前書いておきます。
(映画は続編が作られています)
「イコライザー」のあらすじーネタバレなし
ホームセンターの店員ロバート・マッコールは、妻に先立たれ、ひとりの夕食を近所のダイナーで食べるのを習慣にしています。
常連客のテリーは一目で娼婦と分かる少女ですが、シンガーになるのが夢です。
しかしテリーは、ある夜を境にダイナーに現れなくなります。
客とケンカしたことがきっかけで売春組織の男スラヴィにひどく殴られ入院していたのでした。
テリーの友人マンディから彼女らのひどい待遇を聞いたマッコールは、テリーを助けようと、売春業を仕切るロシアンマフィアの店をひとりで訪れます。
穏便に金を払ってテリーを自由にするよう依頼するマッコールでしたが、そんな要求が通るはずがありません。
交渉が決裂するとマッコールは自ら扉の鍵をかけ、おもむろに腕時計を見ます。
…というお話です。
#映画イコライザー 特別映像 by シネマトゥディ
マッコールがなぜ時計を見たのかは、シネマトゥデイの特別映像↓で分かります。
イコライザーの感想など(ネタバレ含)
2時間10分程度の作品の中でマッコールは、ロシアンマフィアプーシキン財団の売春あっせんクラブをぶっつぶし、町の飲食店から取っていたショバ代を返金させ、癒着警官を締め上げて、精肉工場のパート職員に退職金(札束)を与えて工場閉鎖、ホームセンターに押し入ったマフィアどもをオリジナリティあふれる手段で皆殺しにすると、仕上げにモスクワへ飛んでマフィアのボス、プーシキンとその部下を消す…と、華麗に悪を倒していきます。
そのスキルの高さ、何事にも動じない冷静さ。
タダ者じゃないにもほどがあるだろ!
マッコールは、死を偽装して姿を消したCIAのエージェントだったのでした。
それにしたってさ、ほぼ単独で世界的に活動するマフィアを殲滅するって(笑)
いえ。この作品に現実味など不要なのです。
勧善懲悪、弱きを助け強きをくじく、古典的なヒーローに期待し、熱狂し、凱歌を上げる。シンプルに爽快さを堪能して、その後にちょっと、自分は何のために生まれたのか考える、そういう映画です。
考えてみると、マッコールがマフィアに立ち向かえるのはそれ相応の腕があるからです。
私が同じことをしようとしても、すぐ殺されるだけでなんにもならないでしょう。
では私にできることは何なのか。その前に、これから先、人を助ける側に回れることがあるのか。
…起きている困りごとの内容によるな。
日々経験することは、いつか誰かを助ける日のために運命が配っているカードなのかも。
ラルフィだってタイヤ引きで鍛えていなかったらマッコールを助け起こして運べなかっただろうしね。
ところであのホームセンターは、商品全滅に近い被害状況ですが…保険おりますよね?大丈夫ですよね。
マッコールはきっとあれきりホームセンターに顔を出すこともなく消えたのでしょう。
次作「イコライザー2」ではタクシードライバーになっているらしいですし。
ラルフィにももう会えない?と思うと悲しいですが、最後に再開したアリーナの「堅気の仕事をしながらシンガーを目指す」と言う笑顔ですべて「これでいい」と思えます。
苦労したからシンガーになれるわけではありません。
夢が叶うかどうかは、この体験とは関係ありません。でも、夢がかなわなければ不幸かと言ったら実はそうでもありません。
意外に賢いアリーナは、マッコールが何をしたのか察しているでしょう。
「自分のために命を懸ける他人がいた」という記憶は彼女を強く支えるはずです。きっと彼女はもう道を踏み外さずに生きていけると信じます。
タイトル「イコライザー」の意味とは
イコライザーはequalizer
名詞で意味は
平等[均等]にする人[物];((おもに英))≪サッカーなど≫同点(になる得点);((米俗))武器,ピストル
アメリカスラングで拳銃のことを「イコライザー」と言うようなので、そこから生まれたタイトルと思いますが、真の意味は「平等[均等]にする人[物]」こっちじゃないかと。
マッコールのやっていることは、少女や個人経営店から不当に利益を吸い上げるマフィアを許さず、搾取される人々に還元することなので、「世の中の不公平を公平へと導く男」というニュアンスのタイトルでしょう。
…たぶん(笑)
オムニバスのドラマ向きの話と思ったら最初はドラマだった
観ながら「これは、1話完結形式のドラマでもいいな」と思いました。
バーンノーティスみたいな感じに、1話1件の人助けで進行するのでもいいなと。
そしたら、元々はアメリカのTVドラマだったのを映画化したものだったんですね。
(TV版はデンゼル・ワシントンではない)
映画でマッコールがCIA出身だと分かるのがちょっと遅いように感じましたが、映画を見る人の大半は正体を知っているという前提あってのことでした。
今のところ、ドラマ版は日本では見られないっぽいです。(2024年4月時点で確認したところやっぱ日本では無理っぽいです)
イコライザー続編
映画は続編「イコライザー2」「イコライザー ファイナル」が製作されました。
デンゼル・ワシントンがシリーズものに出演するのは本作が初めてだそうです。