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映画「13の選択」各レベルのミッションでたどるあらすじと感想など

2020年12月31日

映画「13の選択」は、うだつの上がらないサラリーマン、エリオット・ブリンドルが、大金を手にして人生を変えられるというゲームに招待され、あれこれえらいことになる話です。

ゲーム開始時のブリンドルの状況

主人公エリオット・ブリンドルは、会社をクビになります。

顧客の経済状況に留意し、高額商品を売りつけるのを遠慮するエリオットは、セールスマンとして失格だというのがその理由でした。

クビを言い渡すボスは同時に「そんなことで家族を守れるのか」とも言います。

エリオットは結婚を目前に控えていますが、介護施設を追い出された偏屈な父親知的障害のある弟マイケルとの同居を余儀なくされ、婚約者シェルビーにふたりきりの新婚生活を与えてやれません。

弟の医療費には毎月1,200ドルかかり、シェルビーのおなかにはエリオットの子供がいます。

未返済の奨学金とクレジットカードの負債を合わせると借金は9万ドルにも…

映画「13の選択」主人公の経済事情

 

 

そんな状況下での失業に途方に暮れるエリオットのもとに、謎のゲームの参加権を告げる電話が入ったのでした。

電話の主が誰かも分からず、なぜエリオットのことを知っているのかも分かりません。

提示するミッションをクリアすれば賞金を贈ると聞かされるだけで、何をさせられるのかも分かりません。

でも、13の課題をこなせば巨万の富を得られるというオファーは、あまりに魅力的です。

 

ゲームのルール

ゲームマスターからの要求は、電話で伝えられます。

チャレンジする課題は全部で13。36時間程度で済むらしいです。

一つクリアするごとに賞金が振り込まれ、13件すべてを遂行すればエリオットの勝ち。賞金はすべて彼のものに。

過去には何百万ドルも手にしたプレイヤーもいたとか。

もしも途中でミッションをクリアし損ねると、それまでに得た賞金もすべて没収されます。

棄権したり、ゲームのことを人に話したりしても同様、全没収です。

主催者サイドへの接触を試みたり、ゲームの進行を妨げたりすることも失格要件になります。

また、13チャレンジをクリアすればゲーム中に重ねた犯行がすべて免責されお咎めなし、途中で失格した場合にはそのまま刑事事件となって罪を償わなければならないというルールが途中で明かされます。

 

13の課題、全ミッション

謎の電話の男が出すお題は、徐々に難易度が上がります。

 

レベル1:蠅を殺す

エリオットが最初の電話を受けたのは自分の車の中。

その車内にいる一匹の蠅を殺せというのが最初の指令だった。

ゲームの話を信じて指示に従ったわけではなく、車内の蠅がうるさいので叩き殺したふう。

 

レベル2:その蠅を飲み込む

取り合わないエリオットだったが、なぜか蠅の死骸をハンカチに包んで家に持ち帰る。

銀行口座にレベル1の賞金1,000ドルが振り込まれているのを確認するとその蠅を飲む。

賞金は3,622ドルで、これはシェルビーのカード残債と同額。

 

レベル3:5分以内に子供を泣かす

映画「13の選択」レベル3のミッション

シェルビーの両親とピクニックしていた公園で指示を受けたエリオットは、近くにいた女の子に「君の両親は君を嫌いだから捨てようとしている」と言って泣かせる。

報酬は5,000ドル

女の子の両親は、逃げるエリオットの車にギャベジ缶を投げつけ、警察に乗り込む。つまり、いい親。

 

Lv4~Lv13(ネタバレ)を読む

 

レベル4:教会に飾られた人形(盲目の子供たちが作ったもの)を燃やす

ミスって教会建物に延焼。

1万ドルを得る。

 

レベル5:ホームレスから所持品一切を奪って身ぐるみはがす

映画「13の選択」レベル4

まず「ダチョウと交換しよう」と言い寄り、断られると「1,000ドルで買い取る」と偽ってだまし取ったらしい。

1,000ドル渡しとけばホームレスが警察に駆け込むこともなかったように思うが…

 

レベル6:カフェで死体とお茶

アパートで自殺した男の遺体をカフェに運んでコーヒーを飲むというチャレンジ。

タイムリミットが迫り、焦るエリオットは、後ろの席の警官に運ばれたコーヒーを奪って死体の前に置く。

ギリギリでクリア。報酬は5万ドル。

 

レベル7:Lv6での機転を称えられ免除

Lv6 では、コーヒーを横取りされた警察に「外で話を聞こう」と詰め寄られるピンチに陥ったが、警官の職務中の飲酒に気づいたエリオットは、告発をちらつかせて逃げおおせた。

これに免じてレベル7はスキップ。

エリオットは楽しみ始めている。

 

レベル8:男の腕を切り落とす

映画「13の選択」レベル8看護婦

腕を差し出すのは、中学時代にエリオットと弟マイケルをいじめていたウィッター。

兄と二人でブリンドル兄弟をいじめていたと言う。

ウィッターは不動産事業に失敗し、すでにゲームマスターから腕と引き換えの金を受け取っているため後に引けない。

「できない」と断るが、ウィッターに煽られ電動のこぎりで右腕切断。

 

レベル9:ウィッターの兄を殴る

これは指示を受ける前にやっている。

腕切断でテンションのぶっ飛んでいるエリオットは、病院にウィッターを運んだ際に鉢合わせたウィッターの兄を椅子で殴りつける。

その時レベル9のクリアを知らせる着信音が鳴り、これが次のチャレンジだったことが分かる。

エリオットは全能感に酔い、晴れ晴れとした表情で結婚前夜を祝うパーティー会場へ向かう。

 

レベル10:パーティホールを破壊する

映画「13の選択」レベル10パーティー破壊

チャレンジ内容は「インターナショナル」を歌いながら宴たけなわのパーティ会場をぶち壊すというもの。

エリオットはためらうが、ちょうどその時、「弟マイケルが女性客に下半身露出のいやがらせをしたので警備員が話を聞きたがっている」と報せが入る。

暴れついでに弟を逃がして報酬50万ドル。

 

レベル11:警備員につかまる

そのまま警察に突き出され、取り調べ中の会話で、他にももう一人、チャレンジャーがいることを知る。

彼が先にレベル13を達成したらエリオットは失格し、これまでの獲得賞金は返還、犯罪だけが残るとも。

ここまでに重ねた犯行から予想される懲役は20年。

警察署から逃走する途中に誤って刑事の足を撃ってしまうので、さらに伸びるか…。

 

レベル12:老婆の庭に物干しコードを張る

謎の婆ちゃんに頼まれ、庭に洗濯物を干すコードを張ってやるとレベル12クリアが通知される。

改めてよく見るとコードは道路の反対側から引かれていて、夜道を横切る格好になっている。

そこへバイクの一団が走ってくるのを見たエリオットは、コードをくくりつけた杭を渾身の力で抜き、間一髪、惨劇を防ぐ。

だがホっとしたのもつかの間、物陰から現れた何者かがそのコードを張り直し、Uターンしてきたバイク集団は皆首を飛ばして死ぬ。

100万ドルが振り込まれるが、エリオットは「もうやめる」と言う。

 

レベル13:家族の誰かを殺す

エリオットはトラックにはねられそうになる。

もう一人の挑戦者に違いないとみてそのトラックを追うと、たどりついたのは父の暮らす介護施設だった。

父親は自室でくつろいでいる。

事態を把握するよりも前に弟マイケルがその部屋にやってきて、バッグの中の銃をいじり始めるので、エリオットは、もう一人のプレイヤーがマイケルだったこと、最後のミッションが「家族を殺す」であることを知る。

「撃ってはならない」「いや殺す」と押し問答する兄弟を父は「ゲームに興じている」と表現した。

若い頃に妻を亡くした父。エリオットの歳の頃には一財産築いていたと話す父が、このゲームのことを知っている…。

エリオットがたまらず父親に銃を向けると、父は「お前にしてやれるのは、このゲームに勝たせないことだけ」と言って、自分の首をかっ切って死んだ。

しかしまだ悪夢は終わっていない。

勝ちに執着するマイケルが、「ごめん」と泣きながら刺しにくる。

ナイフを振り回すマイケルだったが、エリオットが制止のために撃った銃の傷が深く、殺すよりも先に絶命する。

エリオットはゲームのウィナーと決まり、570万ドルが支払われる。

 

「13の選択」の感想らしきもの~隠されたLv14があった?

本作脚本の参考にされたという映画「フォーリングダウン」

たいていレベル2で無理でしょ。

ただ、あの時のエリオットは、よくよく追い詰められた状態にありました。

そんな時に上司から「君には家族を守ることはできない」と言われ、謎の電話では、「金があれば婚約者を喜ばせられる」と言われ、蠅を飲み込むことが愛の証のように思ってしまったのでしょう。

金のために屈辱的な行為を実行したその瞬間に人間性も売り渡してしまうものなのか、エリオットは急速に変わっていきます。

血を浴びた頬に笑みを浮かべながら運転する横顔にはゾッとします。

エリオットが、「もうやめる」と宣言するのを聞いてほっとしたくらいでした。

たとえリタイヤが死を意味するのだとしても、そのほうがマシだと思ったのです。

 

ネタバレを含む感想を読む

 

そんな結末を覚悟していただけに最後がちょっと疑問でした。

エリオットは失格したはずなのに、なぜ逮捕記録が消えているのか。

このゲームには、隠されたもうひとつのルールがあったということ?

 

ゲームは一見シンプルです。

13の課題をクリアして勝者になるか、途中でしくじるか棄権するかで命をも失う敗者になるかのどちらかだと、そう説明されています。

でもそれだけでなく、本当の勝利とでも呼ぶべき終え方が隠されていたように見えます。

 

ブリンドル家の男3人は全員がゲームの参加者で、迎えるゲームの終わりはそれぞれ違いました。

 

父親は表面上の勝者でしたが、妻を殺してからの人生はどれほど苦しかったことか。

マイケルが「父さんは金持ちになってから意地悪になった」と言うように、あの歪んだ性格は、苦悩の裏返しだったのでしょう。

幸せでないなら、その勝利や大金になんの意味が?

 

弟のマイケルは、ゲームの途中で殺された敗者です。

死ぬことになったのは、最後まで「勝ちたい」という欲に溺れたままだったためでした。

 

もうひとり、最後まで生き残ってすべてのチャレンジをクリアしたエリオットは、それをやれば口座の570万ドルが消えると知りながら、組織の男を撃ち殺します。

みずから勝利を手離したのです。

どんな事情で手に入れたものであれ、一度目にしたお金をあきらめるのはたやすいことではありません。

これが隠されたレベル14であり、ここをクリアした場合にだけ、賞金は消えるけれども同時に犯罪歴も消えるという裏ルールがあったのかなと。

 

…と思ったら…

 

これって2通りのラストが作られてたんですね。(ブルーレイならもうひとつのエンディングが見られるそうです)

13の選択|Wikipedia

最後にどうなるか、はっきり決めないまま撮られていた映画だったとは知らずに深く考えた私って…

ただ、欲と幸せについて考えたことは、私にとっては良かった…かもしれません(笑)

キリスト教では「強欲」が七つの大罪のひとつとされ、仏教でも人の苦しみの根源「三毒」のひとつが「貪」、むさぼりであると教えられています。

欲の制御は人生のテーマのひとつでしょう。

七つの大罪と四終-ヒエロニムス・ボス PublicDomain
七つの大罪と四終-ヒエロニムス・ボス PublicDomain

タイ映画「レベル・サーティーン」のリメイクだったことも観た後で知りました。

「13」と言うのでてっきりキリスト教圏のオリジナルかと思ったら違ったんですね。

タイの元ネタ作品を観たいですが、日本では公開されていないみたいで日本語字幕版は存在しない模様です。